緩和もええけど、やっぱ麻酔したいな~。
先週後半(5月21日~23日)は、横浜で開催された日本麻酔科学会総会に参加してきました。久々の横浜、久々の泊まりがけの出張。体力的には、かなりしんどかったんですが、いい勉強になりました。また、奈良医大麻酔科の同期とランチタイムを共にして、いい刺激をもらいましたわ。ということで、今回の学会で「ええ勉強になったわ~。」と感じた内容を書いておきますね。
「いつもより痛い」は…
単に『痛み』といっても、医学的には大きくわけで3つに分類されています。いわく、①侵害受容性疼痛、②神経障害性疼痛、③痛覚変調性疼痛。①と②は、医療従事者なら、ある程度なじみがあると思います…よね。がん疼痛で例えるなら、がん周辺の炎症が痛みを惹起し、がんが存在している部位が痛いのが①。がんが神経を圧迫して、その神経支配領域に痛みがでているのが②。…しかし…、③については、あまりなじみがないかもしれません。
ひと昔前までは、「心のありようにより変化する痛み」≒心因性疼痛なんて言われていた痛みです。しかし、心のありようだけでは説明がつかない事態であることがわかってきて、かつ分子機構についての研究・理解も進んできたので、名前が変わったって経緯があります。
さて、この3つの痛み。それぞれ単独で存在するのではなく、複雑に絡み合って、「痛み」を形成します。ということは、①侵害受容性疼痛と診断された痛みにも、③の成分が含まれることな~んて、良くあることなんです。その例(ある意味見分け方)として、今回の学会では「患者さんが『いつもより痛い』と言えば、③痛覚変調性疼痛の成分が含まれると思え。」と教わりました。
たしかに、がんの大きさが昨日と今日で大きく変わるわけでもないし、そのがんが神経を押す具合(力)も、昨日と今日で大きく変わるわけでもない。じゃ~、今日の方が、昨日よりずいぶん痛いと訴えるなら、それは(同じ痛みの原因から発性した)痛覚が変調していると考える方がすっきりします。言われてみれば、「そりゃそうだ。」なのですが、目からうろこでしたわ。
この話し、分子機構の面から言い換えると、「患者さんが『いつもより痛い』と言えば、NSAIDs を処方したり、オピオイド鎮痛薬をいたずらに増やしたりしても意味がない。」となります。日々の臨床の経験に照らし合わせると、確かにそうかもしれませんね。
レミマゾラムは超短時間作用型ではない。
製薬会社さんは「超短時間作用型」として売り出していますが、実際使われた先生の講演をお聞きすると短時間作用型と言えるみたいです。また、麻酔導入時の使用感から、(超短時間作用型でないがゆえ)Modified Observer's Assessment of Alertness/Sedation Scale (MOAA/S) 4を容易に実現でき、かつ、そこから覚ますことも容易なようです。緩和医療領域の言葉で表すなら、Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS) -1を容易に維持できる。いいね~。緩和ケア病棟での鎮静のもってこいじゃん。……適応外だけど……。
硬膜外もAiの時代
同期のMに、RIVANNA社のAccuro Neuraxial Guidanceの使用感を教えてもらいました。まず、どんなデバイスかわかりやすく言うと、患者さんの背中にエコー(超音波診断装置)を当てると、Aiが「ここから、この角度で針をさして、何mmで硬膜外に達する。」と教えてくれるデバイスです。いままで、麻酔科医カンと経験が頼りだった硬膜外穿刺が、より安全・確実に行えるようになって代物です。実際使ったM曰く、「使える。」とのこと。「硬膜外が『ぴか~』って光ってみえんねん。」「あれつこたら、あほでも硬膜外できるで。」と。ほんまかいな。
来月から緩和ケア病棟で神経ブロックができるようになりまた(保険点数が付くようになりました)。当院緩和ケア病棟でも、このデバイスを用いて、より安全で、有効な疼痛管理を行いたいですね。特に肋骨の骨転移痛にさいなまれる患者さんや、肛門部痛にさいなまれる患者さんの疼痛コントロールが改善すると思われます。是非欲しいデバイスです。……高いだろうけど……。
以上、とりとめもないお話しでしたが、麻酔科学会のレポートでした。
同期と話してて、「緩和もええけど、やっぱ麻酔したいな~。」と思ったたかはし先生でした。







