《指導医ブログ》海外学会参加の勧め 〜もっとグローバルな視点を持とう〜(病院長Dr.金廣)

医学生並びに研修医のみなさんこんにちは! 病院長の金廣です。
前回の7/7/23のブログでは「留学の勧め〜アナザースカイの実現へ〜」というタイトルで医師の留学についてお話ししました。
そこで、今回は留学に繋がる「海外学会参加の勧め」をテーマにしたいと思います。

(1)日本人の国際学会参加の現状
研修医のみなさんにとって実臨床で経験した貴重な症例を学会で発表することは、これから医師として長い人生を送る上での最初のハードルであり(高くはありませんが)全ての医師にとって必須の経験となります。症例の担当医となった場合、指導医の先生とディスカッションしながら英語の文献を読み漁り、スライドを作成し新たなエビデンスを聴講者の前で発表した後に残るのは自信と達成感、そしてstep upして一回り大きくなった自分の姿です(不思議とそんな感じがするものです)。もちろん今回のテーマである海外での学会発表は最初からできるものではありません。まずは地方会、次に全国学会学術総会での発表というレールを踏襲した後で国際学会にデビューというのが一般的ですが、最近は地方会での発表しか経験したことのない研修医が海外の学会で発表するのを度々目にします。これは指導医の熱意と研修医のやる気、怖いもの見たさ、そして将来の夢の大きさ次第です。そして学会発表を無事終了すると最終ステップが英語での論文化です。論文acceptは今回の発表がPubMeDに掲載され世界中の医学者に注目され得るスタートラインに立ったことになります。医学生や研修医、専攻医と話をすると想像以上にアカデミックかつ世界基準の活動への関心とニーズがあることを感じます。指導医の責任はこういった意欲のある医学生や研修医を将来世界で活躍可能な人材として優しく、そして時には厳しく育てていくことです。しかし、残念ながら日本の医療界ではCOVID19遷延化以前よりすでに留学を含めこのようなアカデミックな活動に対する熱量が明らかに低下しており、韓国、中国など他のアジアの国々と比較しても発表数や論文数が著しく低下傾向である日本の現状は極めて深刻です。日本人も以前のように一旗あげて世界で名を馳せようというハングリー精神がもっと必要ではないかと考えます。

(2)国際学会の醍醐味
国際学会は世界中から発表者、参加者が集まってくるため出席者は数万人に上ります。私はCOVID19前までは毎年米国呼吸器学会(ATS)と欧州吸器学会(ERS)に出席し、時々米国アレルギー喘息・臨床免疫学会(AAAAI)、欧州アレルギー・臨床免疫学会(EAACI)に参加していました。どこの学会に参加し発表するかを考慮する際の決め手は学会のレベルと開催場所です。ATSは世界最先端の学会ではありますが学会場の規模の問題で最近はサンフランシスコ、サンディエゴ、ワシントンDCなどに固定されつつあります。以前は私が留学していたデンバーでも開催され、留学先のNational Jewish Healthの旧知達と親交を深めていましたが、ホテルの数が不足気味となり最近は開催されていません。一方、現在参加者が最も多いのはERSで、なんと言っても開催場所が非常にattractiveです。ロンドン、バルセロナ、アムステルダム、パリ、マドリード、ミラノ、そして今年ウイーンで開催されるERSにCOVID19以降5年ぶりに参戦します。さて、ATSでもERSでも学会に参加しながら時間を見つけて有名な場所に立ち寄り、とくに教会や美術館、夜はコンサートやミュージカル鑑賞、そして重要なのは美味しい食事とワインを楽しみながら学会に参加している国内外の仲間で情報交換するのが常で、毎晩入れ替わり立ち替わり30-40人程度に膨れ上がることもしばしばです。こういった夜の交流でも新たな出会いが生まれ臨床や研究に大いに役立ちます。また、留学希望の人は学会中に留学先となり得る可能性のあるラボの教授とコンタクトをとって面談と情報収集をすることがあります。もちろん私たち指導医があらかじめ教授と連絡を取りあってミーティングを行う場所と時間をセッティングするわけです。ここでうまく話が進めばほぼ留学が決定します。そして学会が終わるとそのまま教授と一緒にラボに挨拶に行くこともあります(改めて日本から挨拶に行かなくても良いためお金と時間の節約になります)。さて、思い起こすと私の国際学会デビューは1994年Swedenのストックホルムで開催されたXV International Congress of Allergology and Clinical ImmunologyとAnnual Meeting of the European Academy of Allergology and Clinical Immunology (EAACI’94)の合同学会でした。


 

 

 

 

1984年に岡山大学を卒業後全身管理がしたくて麻酔科入局(臨床研修制度がない時代です!)、2年後に第二内科(現在の血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に入局し数箇所の病院を回って大学に戻ったのが1990年ごろ、喘息の研究を開始し国内学会では発表の経験はありましたが海外の学会はnew worldでした。国際学会の発表は一般的にはOral PresentationとPoster Sessionに分かれていますが、日本人はPoster Sessionでabstractを応募することが多く、その後学会側がabstractの内容を評価しまず採否が決定され、その後採択演題の中から上位10-20%程度をPoster Discussion Session(学会によりパーセンテージは異なります)、残りがThematic Poster Session、いわゆるポスター発表となります。Thematic Poster Sessionではfacilitator(進行役)と聴衆がポスターの前に順番に回ってくるのでその場で5分程度の比較的和やかな雰囲気でdiscussionが行なわれ研究成果を披露することになります。それではOral PresentationとPoster Discussion Sessionはどちらがstressfulでしょうか?個人的には圧倒的にPoster Discussion Sessionです。Oral Presentationは10-15分間という時間が決まっているのでそれに合わせてスライドを作成するため発表後の質問に答えればいいのに対し、Poster Discussion Sessionはあらかじめテーマごとに10-20人のグループに分けられていて、2人のchairが進行具合でat randomに演者を指名し(これは全く予想ができません)、指名された演者は前に出て発表しQ&Aが始まります。2時間程度のSessionの中でいつ名前が呼ばれるかわからない状態で、逆に呼ばれない場合や何度も指名が入ったりすることもあり緊張状態が持続するためかなり疲れが溜ります。このPoster Discussion Sessionは要注意ですので覚えておいてください。さて、1994年のストックホルムの学会では二つの抄録を出していましたが両演題ともPoster Discussion Sessionに当たっていました。
(写真は低解像度ですがなんと30年前の貴重な抄録集の写真です)
この時はみんなこの発表形式がよくわかっていなかったのですが、あらかじめ座長が各ポスターの写真を何枚か撮っていたらしく、写真のスライドがスクリーンに映し出されると(どのスライドが出てくるか分からない)、比較的大きな会場でしたが演者が演題に駆け上がってそのスライドの説明と考察をプレゼンするというかなり変則的なドキドキパターンで最初は会場にどよめきが起こったのを覚えています。
その時のchairの1人がその後世界的に有名になるMcMaster大学のPaul O’Byrne教授でこの学会以降も様々な会で大変お世話になりましたが、このような医師としての将来的かつ世界的人脈構築にも国際学会は非常に有用です。ちなみに、演題455は難治性喘息に対しマクロライド薬であるエリスロマイシンが臨床的および基礎的検討において有意な効果を認めたという世界で初めての報告であり、30年を経て現在のガイドラインにもコントロール不良なNon-Type2 phenotypeの重症喘息において有用な治療薬として記載されています。このような国際学会は海外の新しい研究に触れ、また参加者とディスカッションすることで自身のモチベーション向上にも繋がります。さて、私たちのグループは学会終了後3泊のpost congress tourを企画し、ストックホルムからオスロを経由してフィヨルドを見ながら非常に美しい海辺の世界遺産の町ベルゲンを訪れた後、

 

 

 

 

北上して北極圏のロフォーテン諸島に渡り、翌朝釣り船を出してもらって釣り上げた1メータ―もある巨大なタラをそのまま船上で捌いてボイルし日本から持って来た醤油をぶっかけて食べるというシンプルだけど非常に贅沢かつ忘れえぬ味を今でも覚えています。 その後飛行機で北極圏最大の町トロムソにある世界最北端の医学部であるトロムソ大学を訪問。冬であればここからオーロラが見えるそうですが7月はそうはいかず、しかしながら非常に美しい白夜でストールシュタイネン山から見える太陽は沈むことなく再び昇っていく様は絶景でした。こんな二度と行けない北極圏の経験も国際学会に参加したからこその醍醐味です。
最近では、2017年のミラノのERSでは世界遺産であるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会にあるダ・ヴィンチが1495年から1497年にかけて描いた極めて有名な「最後の晩餐」のフレスコ画や、イタリアオペラの最高峰であるスカラ座で世界3大テノール歌手プラシド・ドミンゴのオペラを3階のバルコニー席から鑑賞できたのはラッキーでした。
(フレスコ画)    (スカラ座)    (プラシド・ドミンゴ)

Castには載っているものの出演は当日発表でこの時のシリーズでは唯一の出演でした。ドミンゴはコンサートでは時々来日していますが日本で自らオペラを上演することはないので貴重な舞台でした。また、2019年マドリッドのERSでは臨場感溢れる本場のフラメンコはド迫力。

一方、2018年のダラスのATSや2019年のサンディエゴのATSでの我々の若手メンバーのポスター発表の様子ですが、みんな生き生きと説明しているのがわかります。(2018年ダラスのATS)

 

 

 

 

 

(2019年のサンディエゴのATS)

このような写真を見ていると国際学会に参加してみたいと思う人が増えてくるのではないかと期待しています。
Let’s enjoy the moment!

(3)国際学会に役立つフレーズ

それでは、最後に国際学会のプレゼンを成功させる幾つかの決めゼリフを覚えましょう。

1)オープニングとして
* Thank you, Mr. Chairman. It is my great pleasure to present the data of our study about the effects of biologic therapy on severe uncontrolled asthma.
* I appreciate the opportunity to give this presentation at this annual meeting.
* Good afternoon, it is a great honor to be here to present our results about the effects of biologic therapy on severe uncontrolled asthma.
* Today, we are going to talk about the effects of biologic therapy on severe uncontrolled asthma.

2)目的と結果の要約
* First of all, I will describe the protocol about our study briefly.
* In this presentation, I will show you the results of the study about the usefulness of biologic therapy on severe uncontrolled asthma.
* In summary, the objectives of this study were to investigate the usefulness of biologic therapy on severe uncontrolled asthma, and results was,
* To summarize my results of this study,

2)結論では
* In conclusion, I have shown that biologic therapy is very effective on severe uncontrolled asthma.
* So, from these data, we can conclude that biologic therapy is very effective on severe uncontrolled asthma.

3)謝意として
* That’s all for my presentation. Thank you very much.
* Thank you for your attention.
* I would like to thank you for listening to my presentation.
* On behalf of my colleague, I would like to thank you all for listening.
* Before I end up this presentation, I wish to acknowledge the contribution made by my colleague.

《指導医ブログ》当院の求める研修医とは・・・?(プログラム責任者Dr.金谷)

皆さんこんにちは。
酷暑の続く中、6年生の皆さんは卒試・国試勉強をしつつマッチング選考試験の真っただ中にいるのではないでしょうか。また4、5年生の皆さんは来年再来年に向けての情報収集に励んでおられる方も少なくないでしょう。

今回は当院初期研修プログラム責任者として、当院の求める研修医とは?について簡単に考察してみたいと思います。

これまで120名余りの初期研修医を受け入れてきた中で、病院としても様々な経験の蓄積をしてきています(研修医に対し数多くの喜びや、少ないながらも苦しみも経験してきました。これらは双方に言えることと思いますが・・・)
研修医の先生方は、初期研修病院に対し、自分の希望する研修体制が整っているか、そしてそれを補う設備等インフラの充実度はどうか、ならびに福利厚生を含めたワークライフバランスなどを重要視しているのではないでしょうか?

マッチング選考試験において、当院の場合面接官は4名いますが、私が個人的に重要視していることとして

1. 卒業試験・医師国家試験を合格できる成績を有していると思われること

2. 患者さんに誠実に向き合えること

3. チーム医療が叫ばれる中、他職種との連携は大変重要であり、一定のコミュニケーション能力を有していること

4. 研修医の求める研修体制が当院にあり、中規模病院としての特性を活かした、一人当たりの症例数の多さに魅力を感じ、当院のモットーである実践重視の研修や、そのための準備としてシミュレーションセンターの魅力を感じてもらっていること

5. 個性を発揮し切磋琢磨しつつも、一定の協調性を持って、円満な人間関係の中で楽しく充実した研修ができ、医師としてのスタートを切ってくれそうなこと(当院研修医は大変仲が良く、先輩後輩の関係も良好です)

6. 学ぶのみではなく、しっかりと身に着けそれを実践に活かし、上級医、指導医、コメディカルそして病院の力となってくれそうなこと

以上は私が選考試験の判断材料の骨子としている部分ですが、それ以外に明言できないいくつかの検討要件があります。

医学生の皆さんが真剣に研修病院を探されているのと同様に、当院も当院によりマッチした研修医を求めています。是非良いご縁があり当院で一緒に働けるよう祈っています。

姫路聖マリア病院初期研修プログラム責任者
金谷欣明

《指導医ブログ》博多での学び(整形外科部長Dr.三谷)

こんにちは、整形外科医の三谷です。

今年は2024年の日本整形外科学会に参加するため、1泊ではありますが博多へ出張してきました。日常診療では専門分野として肩関節を中心に診療することが多いのですが、こういった大きな学会では自分の専門領域以外の話をまとめて聞くことができ、最新の治療法や手術技術の進歩についての発表など多くの知見を得ることができました。

本学会では屋台のラーメンやうどんなどの業者の方が一部出張してきてくれており、美味しい博多ラーメンやうどんなどを楽しむこともできました。コロナが2類相当のときは学会出張をせずwebでの参加となり、あまり集中してきくことができず、学会発表などの意欲もさがった時期がありましたが、現地参加ができるようになり徐々に以前のようになってきたなと実感しています。そう思っていたところにYahoo!ニュースではコロナが再度急増とのニュース。やれやれです。

これから医師を目指す皆さん、医療の道は厳しい一方で、充実感とやりがいに満ちています。学び続ける姿勢を持ちながら、時には息抜きを忘れずに。皆さんが楽しく充実した医師生活を送れるよう応援しています。

《指導医ブログ》 研修を楽しむ、学会を楽しむ

初期研修医の期間は大切です。初期研修を修了後Generalistを目指すにしても、Specialistを目指すにしても、この2年間をどう活用していくかは死活的に大切ですね。医師の進路としてはこの2つに加えSubspecialistを加えた3つと言う説もあります。学生時代に進路がほぼ確定し、初期研修の期間からすぐに専門性を目指す初期研修医もいれば、ぎりぎりまで進路が見つからない人もいるかもしれません。そんな進路に迷う子羊のために、前者であってもおすすめしたいのが「たくさんの科を回ること」「好きな科の学会に複数参加してみること」です。

私は初期研修時、当時必修だった内科・外科・麻酔科・小児科・産婦人科・精神科・地域医療に加え、整形外科・脳神経外科・泌尿器科・皮膚科・形成外科・眼科・放射線科・病理を回らせていただきました。多いですね。そのような臨床研修を特色にする研修病院だったのもあり、同期の研修医たちも皆好んでたくさんの科を回っていました。そうすることで、どの科を目指すにしても幅広い経験ができGeneralist的指向を養えていたように思います。私はどの科を回っていても「自分がこの科で一生やっていく」あるいは「この科と将来どのように付き合うか」という視点を持って真剣に診療に参加していたのですが、目的意識を持つことで見えてくるものがありました。複眼的に捉え、自分が将来その科とどう向き合っていくか後々のヒントになると思います。

病理に関して言えば、初期研修中の2年間に1回以上のCPC担当は必須です。さらに、手前味噌ですがもし病理診断科での研修を選択すると、病理に提出されてきた検体 (細胞診、生検、手術材料、術中迅速) をつぶさに観察しつつ、切り出し、検体処理、診断と報告に積極的にコミットすることで習熟し、疾患や病態の把握のみならず病理の仕事全体が俯瞰でき理解が深まります。総論・各論横断的な病気の見方ができるようになり、クリティカル・シンキングの実践としても有用です。病理と各科の対話、相互フィードバックの重要性に気づくことで、どの科に進むことを選択しても将来的に役立つこと請け合いです。

また、勉強会や学会への参加も重要ですね。私は研修医時代は内科学会と病理学会に入っていましたが、どちらの学会にも出席して大変勉強になりました。興味がありそうなものには時間の許す限りたくさん参加してみるのが良いのではないかと思います。最先端の医療に触れ、診療と研究の両面の奥深さを知るのがが良いと思います。私も、卒後かなり経ってからも乳癌学会、膵臓学会、JDDW (日本消化器関連学会週間) 等に参加し、自分の専門分野だけでは伺い知りにくいことをたくさん吸収しています。

まとめになりますが、たくさんの科を回り、異なる科の学会に参加してみることで、学生時代よりもさらに広くかつ深く診療と医学に触れ、将来にわたる勉強の基礎固めとなり飛躍するための礎になるのではないかと思います。ぜひ、初期研修時代を戦略的に過ごしてみてください。

 

《指導医ブログ》泌尿器科学会

4月26日から4月28日にかけて日本泌尿器科学会総会に参加してきました。
コロナ禍以降、現地参加は4年ぶりだったので、当時とは環境がかなり変わっていましたね。

会場は横浜だったのですが、出張用のビジネスホテルの職員は最低限で、チェックイン、チェックアウトもセルフ、改札はICカード専用のものがほとんどで、切符で通る人はほとんどいませんでした。学会も参加費も現金不可、クレジットカードのみで、キャッシュレス、スマート化がコロナ禍の間に一気に進んだことを感じました。

今回は私が、専門医指導医更新後の最初の学会ということもあって、なるべく多く単位を取るべく予定を組んだため、横浜観光する余裕はありませんでしたが、帰りの新幹線で、車内販売の代わりの、モバイルオーダーというサービスを利用して、山崎12年ミニボトルを購入して帰りました。市場ではまず手に入らない銘柄ですので、もったいなくて栓は開けられず、スーパーで買えるお手頃ウイスキー飲む毎日ですが、何かの記念日にでも開封することを楽しみに、日々の臨床に戻ります。

《指導医ブログ》集中治療学会に参加してきました

麻酔科の西村です。
第51回日本集中治療医学会学術集会(3月14~16日開催)に参加して来ました。学会は最新の知見を得たり、人との出会いで刺激を受けたりするのが醍醐味ですが、観光して気分転換できるのも楽しみの一つです。今回の開催地は札幌ということで、気持ちも昂ります。午前中に術前外来を終えた後、夕方の便で神戸空港から新千歳空港へと飛び立ちました。


飛行機に乗るのは10年くらい前に沖縄に家族旅行で行った時以来です。

札幌は雪が降ってました。

学会初日の日程表です。
今回はあまり本に載っていないような内容の講演を聴きたいと思っています。

2日目は口演やポスター発表を聴いてみる予定です。

ウクライナやガザで救援活動をしている国境なき医師団の先生の講演を聞きました。ウクライナでは現地の病院のスタッフの援助活動が主体だとのことでした。文化や宗教などを理解して受け入れてもらうのが大事とのことでした。ガザでの迫害は深刻なようで、反乱した民間人をスナイパーが射殺するらしいです。致死率の高い骨盤(防弾チョッキを避けて)や骨髄炎を起こしやすい下腿を狙うなど非人道的で容赦ないらしいです。死傷者が多数出るまでメディアはなかなか報道しないとおっしゃってました。ガザには大学医学部が2つあり、日本人と似た気質で繊細でまじめな人が多いとのことでした。


ランチョンセミナーのお弁当はいまいちでした。

最近集中治療領域で話題になっているタイムリミテッドトライアルの講演を聞きました。タイムリミテッドトライアルとは、重症患者は初期段階での予後予測は難しく「一度始めたらやめられない(人工呼吸や透析など)」という理由で最初から助かるチャンスが奪われてしまうことがあるため、予後予測がある程度できる時期まで一定期間治療してみてから、回復の見込みと患者の価値観をすり合わせて治療の負担を受け入れられないなら、治療撤退して緩和に切り替えるというやり方です。人工呼吸を開始してから抜管(終末期抜管)している病院もあるとのことですが、法的な部分をクリアするために、治療を中断できるという院内規定が必要で、家族との濃密な関わり合いや倫理カンファレンスの実施も必要でありハードルは高そうです。スタッフが充実した大病院じゃないと無理のような気がします。午後は、これもちょっとマニアックな、医療経済学の講演を聴きました。余談ですが現在一番高い薬はゾルゲンスマという脊髄性筋萎縮症に使う遺伝子治療薬で、1本、1億6700万円するらしいです。

学会場を出て、夕食は“いっぴん”というお店の豚丼を食べました。外は雪が降っており、さびしく一人飯です。豚ロースにうな丼のたれみたいな味のたれがかかっています。おいしかったです(1200円くらいして結構高かったけど…)。

東横インのデスクは割とスペースがあって使いやすかったです。

2日目は4月からの赴任先である姫路赤十字病院の先生のポスター発表を聴きました。

2日目のランチョンセミナーの弁当はなかなか良かったです。鮭といくらの海鮮丼です。

土曜に娘の学校行事があるので、2日目に帰りました。1日半の参加でしたが、なかなか充実した学会でした。次は発表できるようにしたいです。

《指導医ブログ》産婦人科の紹介(産婦人科部長Dr.中務)

医学生・研修医の皆さん、こんにちは。産婦人科の中務です。

産婦人科は周産期医療、生殖内分泌、婦人科腫瘍などに分野が分かれますが、私が産婦人科を志したのは、新しい命の誕生に立ち会えることと、手術を通じて患者さんの役に立ちたいという思いからでした。

当院の周産期医療に関してですが、2023年の分娩は382件(うち帝王切開107件)でした。無痛分娩は行っていませんが、希望者には経静脈患者管理鎮痛(IVPCA)による和痛分娩を行っています。
手術件数は397件(腹腔鏡手術 119件 子宮鏡手術23件)で、特に当院では患者さんに低侵襲な腹腔鏡手術を積極的に行っています。

また、腹腔鏡手術に関してはお腹に傷をつけないvNOTES(Vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery:経腟的腹腔鏡手術)を姫路市で唯一行っている施設です。卵巣嚢腫でお腹に傷をつけなくない患者さんの受診も増えており、また、手術を受けられた患者さんも、術後の痛みの少なさに喜ばれています。

研修医の先生には外来見学、超音波検査の実施や手術に関しては、慣れれば第一助手に入ってもらっています。
興味がある方は是非一度見学に来てください。

《指導医ブログ》阪神タイガースと私(副院長・小児科部長Dr.河田)

この指導医ブログでは「断捨離」「魚釣り」と、「自分が今はまっていること」をとりあげてきました。この2つは今も継続していますが、今年はなんといっても「阪神タイガース」です。

実家の父がタイガースファンで、父の転勤で西宮に住んでいた頃に何度か甲子園に連れて行ってもらいました。ナイター照明に照らされた甲子園球場は本当に美しかったです。西宮市では毎年秋に「小学校連合体育大会」「中学校連合体育大会」が甲子園で開催されます(現在でも)。市内の全小(中)学校が甲子園に集まり、組体操やダンス、学校対抗リレーを行います。毎年「タイガースが優勝したら日本シリーズが甲子園であるから連合体育大会がなくなる」と期待していたのに(足の速い子以外みんなこの大会は嫌い)、毎年開催されていました(読売ジャイアンツのV9の頃です)。みんな甲子園で組体操やダンスをしながら、体操服のポケットに「甲子園の土」をいれていたものです(あの土はどうなったのでしょう)。

1985年タイガースが日本一になった年、私は医師になって3年目、前年春に長女を出産し、この年は12月の(次女の)予定日を控え、小児科医として忙しい日々を過ごしていました。なので「タイガースのリーグ優勝、日本一」の記憶が全くありません。おそらくテレビの前に座って野球中継を見る時間が全くなかったのでしょう。

2003年、2005年には3人のこどももそれなりに大きくなって、ほぼ毎試合テレビ観戦していました。この頃マリア病院は「姫路市中小企業共済」に入っていました。甲子園の年間指定席を共済がいくつか持っていて、抽選でチケットを購入することができました。バックネット裏のとても良い席で、何度か見に行きました(現投手コーチの久保田さんの投球がキャッチャーミットにおさまる音はすごかったです)。2003年、2005年はリーグ優勝しましたが、日本シリーズでは敗れました。特に2005年は4連敗。こんな悔しい年はありませんでした。

そして2023年。18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一です。テレビにうつる胴上げシーンやビールかけ、ファンの嬉しそうな顔(涙ぐんでいる顔も)は何度見ても幸せな気持ちになります。新型コロナがある程度世間に受け入れられて、マスクなしで観戦、ビールかけできる年で良かったなと心から思います。来年は久しぶりに甲子園球場に行こうかなあ。

《指導医ブログ》「高知県」ブーム?

先日、本屋さんの旅行情報誌コーナーに立ち寄ってみた。そこには、「高知」関連の数種類の雑誌が最前列に展示されていた(今までこれほど高知が取り上げられることはなかった)。これも今NHKの連続テレビ小説「らんまん」(もうすぐ最終回)の舞台として取り上げられている影響であるらしい。

私自身、大学の研修医(兼大学院生)であった時代、年に数回1カ月単位で、高知の足摺病院に勤務を命ぜられた経験があり、懐かしくパラパラと立ち読みしてしまった(5年間の大学院生時代に、のべ7カ月足摺で過ごしました)。その間、足摺岬、竜串、沖ノ島、四万十川などの観光や地元漁港で水揚げされたトビウオ(地元ではハネという)やカツオを満喫させていただきました。海の透明度も格別で、ダイビングがお勧めです(シュノーケリングだけでもテーブルサンゴや熱帯魚が見られます)。また地元の漁師の方々と懇意になって、12 月にクエ(1㎏1万円の相場で10kgのクエでした)を食したのが、いい思い出となっています。やはり「高知」は魚と酒が最高じゃき!(土佐弁)

少し遠いですが、ぜひ高知(西部)観光をしてみてください。ジョン万次郎も待ってます?(銅像が立ってます、記念館もあります)。

《指導医ブログ》医師の自己研鑽の考え方(呼吸器内科副部長Dr.中島 ②)

皆さんこんにちは。呼吸器内科/アレルギー疾患総合診療部門の中島です。
次に、医師の自己研鑽の考え方について私見ありでお伝えしようと思います。

自己研鑽というのは、医師が自らの知識の習得や技能向上を図るために行う学習や研究のことを指します。この中で労働時間内と認められるものは、参加する事が義務づけられている研修/教育訓練の受講や業務に必要な学習を指します。①一般診療における新たな知識、技能取得のための学習②博士の学位や専門医取得の症例研究や論文作成、学会発表や資料作成➂手術や診療の見学などは、診療業務外と判断されてしまいます。

ここで大事な事がこの3点の時間外労働に関して、「業務上必須でない行為の場合、上司に奨励されているとはいえ、明示、黙示による指示がない場合」との但し書きがあります。違和感を覚えませんか?例えば専門医を取得する際の知識や技能は必ず業務に生きますし、上司に奨励されて部下は自由決定意思があるとはいえ現実には全てを断れません。線引きがあまりに曖昧です。

時間外労働を行う条件として、医師自ら上司に申し出を行い、上司が①本来業務及び本来業務に不可欠な準備/後処理のいずれにも該当しない事②研鑽を行わない事について制裁などの不利益はない事➂上司として指示しておらず、研鑽を開始する時点において本来業務及び業務に不可欠な準備/圧処理は終了しており、本人はそれらの業務から離れている事の3点を確認する必要があるとありますが、部下の申請をこの3点を重視しまともに取り合ってくれる上司(管理職)が果たしでどこまでいるでしょうか?

医師として専門医の取得や学会発表というのは今後の医師人生において若手の時は必須の事項となっています。その業務が全て病院側はサービス残業として、しかしながらその行為は推奨し、実績を求める。完全に違和感を覚えます。

これを解消するには、①診療時間内に業務を終わらせるだけの量の自己調整とスキルをもつ②上司に推奨される事項でも自分には不要な学会活動、業務などの参加の拒否だと思います。前回の働き方改革と同様に、自分の身は自分で守らないといけません。病院側や上司から何を言われても、自分の無理のない範囲内で就労する事が大切です。

病院という場所は医師を育てる所ではなく、あくまで患者を診療する所です。その上で「医師を育てよう」とされている病院はむしろ自己研鑽を推奨していると思います。それぞれの病院での自己研鑽の推奨の仕方にもぜひ注目されてみてはいかがでしょうか。