《指導医ブログ》産婦人科の紹介(産婦人科Dr.中務)

医学生・研修医の皆さん、こんにちは。産婦人科の中務です。

産婦人科は周産期医療、生殖内分泌、婦人科腫瘍などに分野が分かれますが、私が産婦人科を志したのは、新しい命の誕生に立ち会えることと、手術を通じて患者さんの役に立ちたいという思いからでした。

当院の周産期医療に関してですが、2023年の分娩は382件(うち帝王切開107件)でした。無痛分娩は行っていませんが、希望者には経静脈患者管理鎮痛(IVPCA)による和痛分娩を行っています。
手術件数は397件(腹腔鏡手術 119件 子宮鏡手術23件)で、特に当院では患者さんに低侵襲な腹腔鏡手術を積極的に行っています。

また、腹腔鏡手術に関してはお腹に傷をつけないvNOTES(Vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery:経腟的腹腔鏡手術)を姫路市で唯一行っている施設です。卵巣嚢腫でお腹に傷をつけなくない患者さんの受診も増えており、また、手術を受けられた患者さんも、術後の痛みの少なさに喜ばれています。

研修医の先生には外来見学、超音波検査の実施や手術に関しては、慣れれば第一助手に入ってもらっています。
興味がある方は是非一度見学に来てください。

《指導医ブログ》阪神タイガースと私(副院長・小児科部長Dr.河田)

この指導医ブログでは「断捨離」「魚釣り」と、「自分が今はまっていること」をとりあげてきました。この2つは今も継続していますが、今年はなんといっても「阪神タイガース」です。

実家の父がタイガースファンで、父の転勤で西宮に住んでいた頃に何度か甲子園に連れて行ってもらいました。ナイター照明に照らされた甲子園球場は本当に美しかったです。西宮市では毎年秋に「小学校連合体育大会」「中学校連合体育大会」が甲子園で開催されます(現在でも)。市内の全小(中)学校が甲子園に集まり、組体操やダンス、学校対抗リレーを行います。毎年「タイガースが優勝したら日本シリーズが甲子園であるから連合体育大会がなくなる」と期待していたのに(足の速い子以外みんなこの大会は嫌い)、毎年開催されていました(読売ジャイアンツのV9の頃です)。みんな甲子園で組体操やダンスをしながら、体操服のポケットに「甲子園の土」をいれていたものです(あの土はどうなったのでしょう)。

1985年タイガースが日本一になった年、私は医師になって3年目、前年春に長女を出産し、この年は12月の(次女の)予定日を控え、小児科医として忙しい日々を過ごしていました。なので「タイガースのリーグ優勝、日本一」の記憶が全くありません。おそらくテレビの前に座って野球中継を見る時間が全くなかったのでしょう。

2003年、2005年には3人のこどももそれなりに大きくなって、ほぼ毎試合テレビ観戦していました。この頃マリア病院は「姫路市中小企業共済」に入っていました。甲子園の年間指定席を共済がいくつか持っていて、抽選でチケットを購入することができました。バックネット裏のとても良い席で、何度か見に行きました(現投手コーチの久保田さんの投球がキャッチャーミットにおさまる音はすごかったです)。2003年、2005年はリーグ優勝しましたが、日本シリーズでは敗れました。特に2005年は4連敗。こんな悔しい年はありませんでした。

そして2023年。18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一です。テレビにうつる胴上げシーンやビールかけ、ファンの嬉しそうな顔(涙ぐんでいる顔も)は何度見ても幸せな気持ちになります。新型コロナがある程度世間に受け入れられて、マスクなしで観戦、ビールかけできる年で良かったなと心から思います。来年は久しぶりに甲子園球場に行こうかなあ。

《指導医ブログ》「高知県」ブーム?

先日、本屋さんの旅行情報誌コーナーに立ち寄ってみた。そこには、「高知」関連の数種類の雑誌が最前列に展示されていた(今までこれほど高知が取り上げられることはなかった)。これも今NHKの連続テレビ小説「らんまん」(もうすぐ最終回)の舞台として取り上げられている影響であるらしい。

私自身、大学の研修医(兼大学院生)であった時代、年に数回1カ月単位で、高知の足摺病院に勤務を命ぜられた経験があり、懐かしくパラパラと立ち読みしてしまった(5年間の大学院生時代に、のべ7カ月足摺で過ごしました)。その間、足摺岬、竜串、沖ノ島、四万十川などの観光や地元漁港で水揚げされたトビウオ(地元ではハネという)やカツオを満喫させていただきました。海の透明度も格別で、ダイビングがお勧めです(シュノーケリングだけでもテーブルサンゴや熱帯魚が見られます)。また地元の漁師の方々と懇意になって、12 月にクエ(1㎏1万円の相場で10kgのクエでした)を食したのが、いい思い出となっています。やはり「高知」は魚と酒が最高じゃき!(土佐弁)

少し遠いですが、ぜひ高知(西部)観光をしてみてください。ジョン万次郎も待ってます?(銅像が立ってます、記念館もあります)。

《指導医ブログ》医師の自己研鑽の考え方(呼吸器内科副部長Dr.中島 ②)

皆さんこんにちは。呼吸器内科/アレルギー疾患総合診療部門の中島です。
次に、医師の自己研鑽の考え方について私見ありでお伝えしようと思います。

自己研鑽というのは、医師が自らの知識の習得や技能向上を図るために行う学習や研究のことを指します。この中で労働時間内と認められるものは、参加する事が義務づけられている研修/教育訓練の受講や業務に必要な学習を指します。①一般診療における新たな知識、技能取得のための学習②博士の学位や専門医取得の症例研究や論文作成、学会発表や資料作成➂手術や診療の見学などは、診療業務外と判断されてしまいます。

ここで大事な事がこの3点の時間外労働に関して、「業務上必須でない行為の場合、上司に奨励されているとはいえ、明示、黙示による指示がない場合」との但し書きがあります。違和感を覚えませんか?例えば専門医を取得する際の知識や技能は必ず業務に生きますし、上司に奨励されて部下は自由決定意思があるとはいえ現実には全てを断れません。線引きがあまりに曖昧です。

時間外労働を行う条件として、医師自ら上司に申し出を行い、上司が①本来業務及び本来業務に不可欠な準備/後処理のいずれにも該当しない事②研鑽を行わない事について制裁などの不利益はない事➂上司として指示しておらず、研鑽を開始する時点において本来業務及び業務に不可欠な準備/圧処理は終了しており、本人はそれらの業務から離れている事の3点を確認する必要があるとありますが、部下の申請をこの3点を重視しまともに取り合ってくれる上司(管理職)が果たしでどこまでいるでしょうか?

医師として専門医の取得や学会発表というのは今後の医師人生において若手の時は必須の事項となっています。その業務が全て病院側はサービス残業として、しかしながらその行為は推奨し、実績を求める。完全に違和感を覚えます。

これを解消するには、①診療時間内に業務を終わらせるだけの量の自己調整とスキルをもつ②上司に推奨される事項でも自分には不要な学会活動、業務などの参加の拒否だと思います。前回の働き方改革と同様に、自分の身は自分で守らないといけません。病院側や上司から何を言われても、自分の無理のない範囲内で就労する事が大切です。

病院という場所は医師を育てる所ではなく、あくまで患者を診療する所です。その上で「医師を育てよう」とされている病院はむしろ自己研鑽を推奨していると思います。それぞれの病院での自己研鑽の推奨の仕方にもぜひ注目されてみてはいかがでしょうか。

《指導医ブログ》医師の働き方改革についての考え方(呼吸器内科副部長Dr.中島 ①)

 

皆さんこんにちは。呼吸器内科/アレルギー疾患総合診療部門の中島です。
本日は、最近世間を賑わせていた医師の時間外労働について私見を交えお話をしたいと思います。今後皆さんが仕事をしていく上で非常に重要な事項です。

2024年4月より「医師の働き方改革」により医師にも時間外労働の上限規制が適応されます(むしろ今までされていなかったのが異常ですが)。そうなった背景には①長時間労働の常態化②休日確保が困難といったものがありました。今回はその内容については各病院より指針が出されていると思いますので割愛したいと思いますが、それが医師にとってメリットとして働くのかという事にスポットを当てたいと思います。

まずそもそも超過勤務の実態がある事が異常と思われると思いますが、現実は殆どの病院で超過勤務をしないといけない程の仕事量が存在します。科によっては緊急手術による呼び出しや重症患者の場合はそちらにリソースを割く時間が増えます。予定の仕事量しかなければ自分で調整を行えるが、救急指定病院や日当直にオンコール体制をとっている病院は難しいと思います。またその病院の中で自分しか行えない業務やマンパワーの問題でそうならざるを得ない状況もあります。つまり自分で調整をするには限界があります。超過勤務を制限することは、診療の制限や医療サービスの質が落ちてしまう側面も持ち合わせていると考えます。言い換えると、病院の収益と医師の心身の健康問題になるかと思います。

ここで大事な事は、働き方改革=仕事量の減少とならない事です。時間だけの制限でどのように仕事量を減らすかが課題となります。私はここでタスクシフティングが大事だと思います。医師しかできない事は医師が行い、他職種がカバーできることはお願いをする、夜間休日の不要不急の連絡など医療従事者の意識の変革を求める、また一般の方にも時間外の医師との面会の制限など病院側が「医師を守る」という姿勢を率先的に示すという事が医師にさらなる業務の効率化につながり、健康的に就労することが可能になると考えます。

現在当院もそうですがまだまだ病院としてこのようなタスクシフティングが進んでいる病院は少ないと思います。病院側は建前上の時間外労働時間の削減を進めているだけのところが多いように散見されます。自分の身は自分でしか守れません。今後病院選択をする際には、ぜひこの「病院が医師を守る体制=医師を大切にしてくれる病院」の項目に注意をして病院選びを行うという事も非常に大事だと思います。

いきいき働く医療機関サポートサイト「いきサポ」

《指導医ブログ》面接(耳鼻咽喉科 担当部長Dr.佐伯)

皆さんこんにちは。耳鼻咽喉科の佐伯です。
今回のブログは「面接」と題しました。その理由は、最近、面接をする立場とされる立場をそれぞれ経験したからです。一つは初期研修の先生方の採用試験の面接官を務めたこと、もう一つは日本睡眠学会専門医の面接試験を受けたことです。

まず、初期研修医の採用面接官のことについてですが、この年齢(もうすぐ65歳)になって初めて面接官を経験しました。4人の面接官の中で最後に面接の順番が回ってくるため、他の方々と内容が重複しないように、まずは申請書の記載内容をみて、いくつかの質問を考えておきました。自分が医学生の時には勉学はほどほどで、教養時代からソフトテニス部を中心に活動していたこともあり、どうしても勉学的なことや医師としての抱負などよりも部活動やアルバイト経験などの社会活動の質問が多くなってしまいます。面接中は、初期研修医になる学生さんの人間性や性格などを把握しようとしますが、それがなかなか難しいものです。確かに第一印象は重要ですね。皆さんの緊張感と初々しさがひしひしと伝わり、将来が希望で満ち溢れているなと羨ましくも感じました。でも、最終的には学業成績よりも性格が素直で協調性のある方がいいなと個人的には思ってしまいます。

次に、面接を受けた立場についてです。当院耳鼻咽喉科は日本睡眠専門医療機関に認定されているため、学会に入会し耳鼻咽喉科で一定期間の研修を受けると日本睡眠学会専門医の受験資格が得られます(追加ですが、アレルギー専門医の受験資格も取得できます)。このたびはせっかくの機会でしたので思い切って試験を受けてみることにしました。受験の形式はマークシート方式の筆記試験と面接試験でした。これまで病院赴任時などのお決まりのような面接は受けた経験はあるものの、正式な面接試験を受けた経験はありませんでした(今回の試験では私が最年長であることは明白でした)。まずは人間性をみられるでしょうが、知識や臨床経験を主に試されるため、面接が始まるまでは自分でも緊張しているなと感じていました。しかし、最初の質問でつまずかなかったため、その後は比較的落ち着いて面接を受けることができました。二人の面接官は私よりも年下のようでしたので気を遣っていただき(?)、偏った意地悪な質問はなく、まあまあの出来だったかと感じました(面接官的には逆か?)。しかし、少し気がかりなのは面接室から退室する時に、安堵感からか、「この歳で面接試験を受けるとは思いませんでした。」と余計なことを口走ってしまったことです。面接官はどう感じたでしょうか? この文章がブログに掲載される頃には試験結果が発表されているでしょうが、果たして結果は??

このように、全く逆の立場になるふたつの面接に関わることとなりましたが、ともに貴重な経験でした。皆さんはこれから色々な面接を経験していくでしょうが、平常心で相手の目を見ながら自分を素直に表出することが大切でしょうか? それでは、皆さん心身ともに健康に気を付けて、焦らず一歩ずつ前向きに頑張ってくださいね。

《指導医ブログ》留学の勧め 〜アナザースカイの実現へ(2)〜(病院長Dr.金廣)

(3)留学だからできる楽しみについて
さて、留学早々から日常生活でのculture shock、すなわちこれまでの価値観がひっくり返るような事例を多数体験できます。米国は”Ladies first”の国であることは言葉の上では知っていましたが、例えば、エレベーターでは扉を押さえて女性を先に乗せ、降りる際も扉が閉まらないように気をつけて女性を先に通す。決して先に乗り込んではダメです。5mほど前から女性が歩いてきたら男性はドアを開け待ち、女性が通り過ぎるまで手で押さえて待つ。笑顔は忘れず、女性はThank you!と言うのでYou are welcome!, My pleasure!, No problem!, Any time!, Sure! などなど相手との間柄やシチュエーションに相応しい返答をすることが必要。また、高級レストランで案内が付くときは女性を先に通して男性が後ろを歩く。ただし、案内などが付かないレストランでは男性が先に立って席を探すなど日々gentlemanであるべきなのです。あくまで男性の話ですので悪しからず。さて、ラボ仲間の食事会や飲み会なども多く、サマータイムの時には21時ごろまで明るいため我が家のbackyardでBBQを楽しんだり、仕事を終えてからのゴルフのラウンドも十分可能です(ハーフだと僅か10ドル程度です)。また、休暇も十分取れるのでみんな長期のsummer vacationを楽しんでいましたが、私は毎年2〜3週間程度車にテントを積んでNational Parkを巡っていました。コロラド州はユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、ワイオミングと接しており米国の人気National Parkが多く(写真6)、全米で59箇所のNational Parkの内20箇所を制覇しました(地の利もありおそらく日本人留学生のtop classだと思います)。とくにロッキーマウンテン国立公園(コロラド)(写真7)、アーチーズ国立公園(写真8)、The Narrowsで有名なザイオン国立公園(ユタ)(写真9)、世界遺産でもあるイエローストーン国立公園(ワイオミング)(写真10)はおすすめです。また、ロッキー山脈には米国の最高級スキーリゾートが多く、冬は毎週末ホームグラウンドにしていたPark Hyatt Hotelを中心として広がるBeaver creek(写真11)やVailに行っていましたが、3,500m級の山頂からpowder snowを滑降する快感は筆舌に尽くし難いものです(写真12)

(写真6)

(写真7)ロッキーマウンテン国立公園

(写真8)アーチーズ国立公園

(写真9)ザイオン国立公園

(写真10)イエローストーン国立公園

(写真11)

(写真12)

(4)Shall we try?
若手や中堅医師にとって留学はキャリアアップやポストアップに繋がる可能性、また帰国後専門領域においてリーダーシップを取ることにより医師としての活動範囲が広がる可能性があり、インパクトの高い業績を上げることがてきれば留学は医師としての評価を高める貴重な機会になり得ます。また、様々な国から留学して来た言語・文化・社会的背景が異なる仲間とコミュニケーションを図りながら仕事を進めていくにあたり、多様性を尊重し多方面でレスペクトすることを自然に習得することが可能で、留学経験は単一民族国家として独自の言語と文化を確立してきた日本人にとって国内にいるだけでは到底経験できない「人生の財産」と言っても過言ではありません。知らず知らずの内に物事を太極的に見ながら良し悪しを判断することが身についていく感じでしょうか。今私たちは医療のグローバル化が進む世界、すなわち日本だけで医療を完結するのは難しい時代に生きています。留学とはグローバル競争社会で揉まれて自身が本来持っている可能性をさらに高めることができるかけがえのない人生経験への自己投資であり、結果として数年間の海外生活であるにもかかわらず人として、またその後の医師人生の糧になる有意義な人生の寄り道、「アナザースカイ」と考えていいのではないかと思います。
『これから始まる長い医師生活の中で、研修や研究が一段落したところで思い切って留学してリフレッシュし、それまでの医師人生を振り返りながら新たなステップを踏み出してみる、こんなプランニングはいかがでしょうか?』
医学生並びに研修医のみなさん、留学は早い方がbetterです(singleあるいはfamilyだと子供が小学生ごろまでが現地の学校に馴染みやすいと思います)。ポジティブ志向で今からでも考えてみませんか。

《指導医ブログ》留学の勧め 〜アナザースカイの実現へ(1)〜(病院長Dr.金廣)

医学生並びに研修医のみなさんこんにちは! 病院長の金廣です。
今回は医師の留学についてお話ししたいと思います。

(1)医師留学の現状について
医師の留学には臨床留学と研究留学があり、臨床留学は初期研修終了後2〜4年あるいは臨床医としてしばらく診療後が多く、レジデンシーは3〜5年、フェローシップは1〜4年程度。米国での医療行為にはUnited States Medical Licensing Examination(USMLE)のStep2 CSまでの合格が必須ですが、米国外の医学部を卒業した医師(International Medical Graduates: IMG)の増加に伴い米国の医学部を卒業した医師との専門研修におけるポジション争いが激しくなり、Educational Commission for Foreign Medical Graduates(ECFMG)はIMGの増加に歯止めをかける目的で受験資格を2023年より厳格化する方針を示しており、専門研修病院は狭き門になることが予想されます(マッチする確率は診療科や地域によって異なるため、留学期間中にいかにマッチする可能性の高い施設を見つけることができるかが鍵です)。一方、研究留学は客員研究員あるいはポスドクとして留学先からIAP-66とInvitation letterが届き、在日大使館/領事館に書類を申請後交流訪問者プログラム(J-1ビザ)が発行されれば留学可能です。留学期間は1〜3年程度が多いでしょうか。私は岡山大学の助手休職のポジションで留学できたため、大学と留学先のLabから給与を得ることができたので比較的生活は安定していましたが、やはり生活費が高く家族のために安全な校区を選ぶと家賃だけで20万円以上は必要でしょうか。我が家は平家のセントラルヒーティング付きで、フルサイズの地下がありましたが、この地下室は夏涼しく冬暖かい優れものでした(写真1)。またAmerican Lifeをenjoyするためにはある程度の持ち出しが必要になります。現在は岡大を含め役職休職での留学制度は残念ながらほとんどの大学で廃止されてしまいました。さらに、日本からも米国留学先からも全く無給の留学の場合(以前は普通にあり)にはJ-1ビザの発給ができなくなりましたが、現在日本からの留学医師の減少(逆に中国や韓国などのアジア勢はどんどん増加しています)により様々な学会や団体からの留学グラントが獲得し易くなっているため留学資金の確保は十分可能だと思います。日本人医師は海外でもモラルが高く、社会的信用性、期間内で研究や論文を仕上げ、きちんと帰国するため留学しやすい立場にありましたが、米国では環境の変遷に伴い成果に直結する専門性の高い医師を求めるようになり日本人医師にとっても研究留学自体が以前と比較すると容易ではない状況に移行していますが、米国でも欧州でも日本人医師の留学後の活躍を実感しているため引き続き双方がwin-winの関係であり、留学したいという意思が強ければ最終的にはみんな留学できています。

(写真1)

(2)留学の医学的メリットについて
さて、留学期間中は研究スタッフとして研究室で実験を行いながら毎週のラボミーティングやカンファレンスだけでなく、施設や病院が主催する他大学の有名な研究者のレクチャーやセミナー、シンポジウムなどにも参加し、グローバルな生命科学について知見を深めることができます。私がいたときにもノーベル賞候補者が講演に来たり、Impact Factor (IF) の高いJournalのchief editorが来た時にはみんなこぞって自分の研究成果を発表し、売り込み、作成中の論文のacceptに向けてbrush upするのが常で、日本では見かけない国際競争力の源となる光景です。研究留学先の多くは大学医学部や病院、基幹研究施設であるため、専門分野において臨床医らとの交流や臨床研究などにも参画することが可能で、とくに、世界的な業績を上げている研究室のミーティングは独特な雰囲気で、最新の研究動向を把握することによって今後の各自の研究の方向性を修正することが可能であり、up-to-dateな現場を肌で感じることは医師として極めて有益な機会となり得ます。残念ながら最先端の研究情報はまだまだ海外から発信されることが多く、一度は留学生活を経験してみたいと思う人は少なくないはずです。また、グローバルに活躍する医師や研究者らとの交流を帰国後の研究や臨床に繋げることも可能であり、留学から帰国後もみんな共同研究を継続しながらoutputを出しています。
私は、創立1899年で呼吸器・アレルギー疾患の診療及び研究のメッカであり、呼吸器分野において全米 Top HospitalであるNational Jewish Medical and Research Center. Denver. CO (現 National Jewish Health)に留学しました(写真2,3)。私が留学中に初めて全米1位になり盛大に祝賀会が開催されたのが懐かしいですが、以後26年間1位/2位を継続しています。今年はMayo Clinicが1位でNational Jewish Healthが2位でした(成人領域では1位)(写真4)。ラボには世界中から優秀な医師が集まっており、今振り返っても40年の医師人生の中でこの数年間は極めて充実した思い出深い貴重な日々であったと確信しています。私は気管支喘息の本体である気道炎症と気道過敏性の病態解明、新規治療薬の開発を大きなテーマとして研究を開始しましたが、Bossである免疫学を専門とした有名な小児科医であるProf. Gelfandは細かい指導はなく好きなように研究をさせてもらい、同時進行でたくさんの研究を走らせ、様々な研究室とコラボレーション研究も可能でした。私が留学した当時のGelfand Labは、日本人は私1人でドイツ人、フィンランド人、イタリア人、イギリス人、フランス人、ポーランド人、モロッコ人と多国籍集団で、みんな国民性豊かで、また家族同士の付き合いも盛んで毎日楽しい留学生活を送ることができました。帰国後も国際学会に合わせてそれぞれの国に招かれたりしながらkeep in touchしていくのは楽しく、このような留学を通じて培った経験や人脈は以降の医師生活においても非常に大切であることは言うまでもありません。Prof. Gelfandを日本アレルギー学会の招請講演の演者として招いた時に日本から彼のLabに留学した仲間(岡山大学、福井大学、新潟大学、高知大学、慶應義塾大学、東京女子医科大学、名古屋大学など)で食事会を開催しました(写真5)。留学中のコラボレーションによる研究成果も下記の如くhigh quality journalへのacceptも多く充実していました(ちなみに留学関連で作成した下記論文のIFの合計は450点になります)。

1) Negative regulation of airway responsiveness that is dependent on gammadelta T cells and independent of alphabeta T cells. Nature Med 5:1150-6. 1999.
2) The failure of STAT6-deficient mice to develop airway eosinophilia and airway hyperresponsiveness is overcome by interleukin-5. Am J Respir Crit Care Med 160:1283-1291. 1999.
3) Role of gammadelta T cells in protecting normal airway function. Respir Res 1:151-158, 2000.
4) IL-10 is necessary for the expression of airway hyperresponsiveness but not pulmonary inflammation after allergic sensitization. Proc Natl Acad Sci USA 97:6007-6012. 2000.
5) Type 4 phosphodiesterase inhibitors attenuate respiratory syncytial virus-induced airway hyper-responsiveness and lung eosinophilia. J Pharmacol Exp Ther 294:701-706. 2000.
6) Timing of administration of anti-VLA-4 differentiates airway hyperresponsiveness in the central and peripheral airways in mice. Am J Respir Crit Care Med 162:1132-1139. 2000.
7) Inhibition of phosphodiesterase 4 attenuates airway hyperresponsiveness and airway inflammation in a model of secondary allergen challenge. Am J Respir Crit Care Med 163:173-184. 2001.
8) Tumor necrosis factor (TNF)- negatively regulates airway hyperresponsiveness through T cells. Am J Respir Crit Care Med 164:2229-2238. 2001.
9) T cells as regulators of airway hyperresponsiveness. Int Arch Allergy Immunol 125:203-210. 2001.
10) The failure of interleukin-10-deficient mice to develop airway hyperresponsiveness is overcome by respiratory syncytial virus infection in allergen-sensitized/challenged mice. Am J Respir Crit Care Med 165:824-831. 2002.
11) Regulation of Airway Hyperresponsiveness by Calcitonin Gene-related Peptide in Allergen Sensitized and Challenged Mice. Am J Respir Crit Care Med 165:1137-1144. 2002.
12) MHC-Class-I-dependent V4+ pulmonary T cells regulate  T cell-independent airway responsiveness. Proc Natl Acad Sci USA 99:8850-8855. 2002.
13) Fexofenadine modulates T-cell function, preventing allergen-induced airway inflammation and hyperresponsiveness. J Allergy Clin Immunol 110:85-95. 2002.
14) Requirment for the p75 TNF-receptor (TNFR2) in the regulation of airway hyperresponsiveness by  T cells. J Immunol 169:4190-4197. 2002.
15) Effects of fexofenadine on T-cell function in a murine model of allergen-induced airway inflammation and hyperresponsiveness. J Allergy Clin Immunol 112:89-95. 2003.
16) Aerosolized anti-T-cell-receptor antibodies are effective against airway inflammation and hyperreactivity. Int Arch Allergy Immunol 134:49-55. 2004.
17) Alteration of airway sensory neuropeptide expression and development of airway hyperresponsiveness following respiratory syncytial virus infection. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 288:L761-770. 2005
18) Airway Hyperresponsiveness in the absence of CD4+ T Cells after primary but not secondary challenge. Am J Respir Cell Mol Biol 33:89-96. 2005.
(写真2)

(写真3)

(写真4)

(写真5)

 

《指導医ブログ》卒後臨床研修センター長Dr.金谷

当院卒後臨床研修センター長の金谷です。

3月に当院研修医2年次生を送り出し、4月に新1年次生をお迎えして、早3か月が経過しました。新1年次生を各病棟や手術棟で見かけるにつき、順調な滑り出しをしてくれていると実感します。

私事ですが、この度四国の田舎に住み老々介護を強いられていた、80代後半の両親に無事有料老人ホームに入所してもらうことができました。50年以上住み慣れた家、故郷を離れ、新しい土地への転居を決心してくれた両親に感謝するとともに、普段技術系で仕事をしている私があまり触れることのなかった、要支援・要介護の申請手続きの詳細や、その後のサービスを深く学ぶ機会を得たことで、日本の介護保険制度の素晴らしさを改めて実感しました。

医学生や研修医の皆さんは医療に夢と希望を抱き、最新技術や知識、さらには近未来のAIを駆使した新たな取り組みにも胸を躍らせていることと思います。しかし一方で避けて通ることのできない我が国の少子高齢化による医療問題にも目を向けていただき、俯瞰的な立場で医療を考える目も養ってください。

ますます暑さ厳しい季節となりましたが、実習、研修にと頑張ってください。

《指導医ブログ》ビギナ-のための画像セミナ-(旧研修医画像セミナ-)SPRING

医学生のみなさんこんにちは。
放射線科Fと申します。

2023年もブログ担当が回ってきました。
できるだけ医学生の皆さんに参考になるように、先日ZOOM配信にて行われましたビギナ-のための画像セミナ-(旧研修医画像セミナ-)について書かせていただきます。

この画像セミナ-は、岡山大学放射線医学教室の主催で、毎年3回開催されております。主に救急画像診断についての講演をされており、救急外来を担当する初期研修医の先生に大変役立つ内容となっています。

今回は、腹部領域の救急疾患(虫垂炎および腸閉塞症)と外傷の救急画像診断についての2講演ありました。演者の先生は、三豊総合病院の兒島聡一先生と岡山大学病院の馬越紀行先生で、明日から役に立つ救急疾患について、詳しく講演していただきました。

兒島聡一先生は、読影室での研修医との対話形式を用いた方法で講演されており、虫垂炎および腸閉塞症の画像診断についての読影手順など詳しく解説があり、臨場感あふれるご講演でした。

馬越紀行先生は、元救急医のJATECのインストラクタ-でもあり、JATEC流の外傷CTパンスキャン読影法:FACTの読影法の説明から始まり、単純CTでの出血の見つけ方や動脈性出血の見つけ方など、またIVRでの治療も含めた症例の解説もあり、救急医療現場さながらのご講演でした。

救急診療では、画像が診断の決め手になる場合が多く、姫路聖マリア病院で初期研修をされる際には、是非この画像セミナ-を聞いて、明日への診療に役立てていただきたいと思います。

今回のセミナ-では、サブタイトルとして、「虫垂炎を自信を持って診断しよう」とあったのですが、初期研修では、救急のCTに限らず、普段から腹部のCTを見る際には、正常の虫垂をみつけるくせをつけることが大事であるということでした。
虫垂炎はカタル性から壊疽性まで様々であり、実際の救急診療では、腸閉塞症にて紹介されてくることもあり、たかが虫垂炎、されど虫垂炎ということなのだと思います。

医学生のみなさんにおかれましては、医師国家試験に向けて頑張っておられるかと思います。体調管理には、くれぐれもお気をつけください。