麻酔科の西村です。
第51回日本集中治療医学会学術集会(3月14~16日開催)に参加して来ました。学会は最新の知見を得たり、人との出会いで刺激を受けたりするのが醍醐味ですが、観光して気分転換できるのも楽しみの一つです。今回の開催地は札幌ということで、気持ちも昂ります。午前中に術前外来を終えた後、夕方の便で神戸空港から新千歳空港へと飛び立ちました。
飛行機に乗るのは10年くらい前に沖縄に家族旅行で行った時以来です。
札幌は雪が降ってました。
学会初日の日程表です。
今回はあまり本に載っていないような内容の講演を聴きたいと思っています。
2日目は口演やポスター発表を聴いてみる予定です。
ウクライナやガザで救援活動をしている国境なき医師団の先生の講演を聞きました。ウクライナでは現地の病院のスタッフの援助活動が主体だとのことでした。文化や宗教などを理解して受け入れてもらうのが大事とのことでした。ガザでの迫害は深刻なようで、反乱した民間人をスナイパーが射殺するらしいです。致死率の高い骨盤(防弾チョッキを避けて)や骨髄炎を起こしやすい下腿を狙うなど非人道的で容赦ないらしいです。死傷者が多数出るまでメディアはなかなか報道しないとおっしゃってました。ガザには大学医学部が2つあり、日本人と似た気質で繊細でまじめな人が多いとのことでした。
ランチョンセミナーのお弁当はいまいちでした。
最近集中治療領域で話題になっているタイムリミテッドトライアルの講演を聞きました。タイムリミテッドトライアルとは、重症患者は初期段階での予後予測は難しく「一度始めたらやめられない(人工呼吸や透析など)」という理由で最初から助かるチャンスが奪われてしまうことがあるため、予後予測がある程度できる時期まで一定期間治療してみてから、回復の見込みと患者の価値観をすり合わせて治療の負担を受け入れられないなら、治療撤退して緩和に切り替えるというやり方です。人工呼吸を開始してから抜管(終末期抜管)している病院もあるとのことですが、法的な部分をクリアするために、治療を中断できるという院内規定が必要で、家族との濃密な関わり合いや倫理カンファレンスの実施も必要でありハードルは高そうです。スタッフが充実した大病院じゃないと無理のような気がします。午後は、これもちょっとマニアックな、医療経済学の講演を聴きました。余談ですが現在一番高い薬はゾルゲンスマという脊髄性筋萎縮症に使う遺伝子治療薬で、1本、1億6700万円するらしいです。
学会場を出て、夕食は“いっぴん”というお店の豚丼を食べました。外は雪が降っており、さびしく一人飯です。豚ロースにうな丼のたれみたいな味のたれがかかっています。おいしかったです(1200円くらいして結構高かったけど…)。
東横インのデスクは割とスペースがあって使いやすかったです。
2日目は4月からの赴任先である姫路赤十字病院の先生のポスター発表を聴きました。
2日目のランチョンセミナーの弁当はなかなか良かったです。鮭といくらの海鮮丼です。
土曜に娘の学校行事があるので、2日目に帰りました。1日半の参加でしたが、なかなか充実した学会でした。次は発表できるようにしたいです。