(3)留学だからできる楽しみについて
さて、留学早々から日常生活でのculture shock、すなわちこれまでの価値観がひっくり返るような事例を多数体験できます。米国は”Ladies first”の国であることは言葉の上では知っていましたが、例えば、エレベーターでは扉を押さえて女性を先に乗せ、降りる際も扉が閉まらないように気をつけて女性を先に通す。決して先に乗り込んではダメです。5mほど前から女性が歩いてきたら男性はドアを開け待ち、女性が通り過ぎるまで手で押さえて待つ。笑顔は忘れず、女性はThank you!と言うのでYou are welcome!, My pleasure!, No problem!, Any time!, Sure! などなど相手との間柄やシチュエーションに相応しい返答をすることが必要。また、高級レストランで案内が付くときは女性を先に通して男性が後ろを歩く。ただし、案内などが付かないレストランでは男性が先に立って席を探すなど日々gentlemanであるべきなのです。あくまで男性の話ですので悪しからず。さて、ラボ仲間の食事会や飲み会なども多く、サマータイムの時には21時ごろまで明るいため我が家のbackyardでBBQを楽しんだり、仕事を終えてからのゴルフのラウンドも十分可能です(ハーフだと僅か10ドル程度です)。また、休暇も十分取れるのでみんな長期のsummer vacationを楽しんでいましたが、私は毎年2〜3週間程度車にテントを積んでNational Parkを巡っていました。コロラド州はユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、ワイオミングと接しており米国の人気National Parkが多く(写真6)、全米で59箇所のNational Parkの内20箇所を制覇しました(地の利もありおそらく日本人留学生のtop classだと思います)。とくにロッキーマウンテン国立公園(コロラド)(写真7)、アーチーズ国立公園(写真8)、The Narrowsで有名なザイオン国立公園(ユタ)(写真9)、世界遺産でもあるイエローストーン国立公園(ワイオミング)(写真10)はおすすめです。また、ロッキー山脈には米国の最高級スキーリゾートが多く、冬は毎週末ホームグラウンドにしていたPark Hyatt Hotelを中心として広がるBeaver creek(写真11)やVailに行っていましたが、3,500m級の山頂からpowder snowを滑降する快感は筆舌に尽くし難いものです(写真12)。
(写真6)
(写真7)ロッキーマウンテン国立公園
(写真8)アーチーズ国立公園
(写真9)ザイオン国立公園
(写真10)イエローストーン国立公園
(写真11)
(写真12)
(4)Shall we try?
若手や中堅医師にとって留学はキャリアアップやポストアップに繋がる可能性、また帰国後専門領域においてリーダーシップを取ることにより医師としての活動範囲が広がる可能性があり、インパクトの高い業績を上げることがてきれば留学は医師としての評価を高める貴重な機会になり得ます。また、様々な国から留学して来た言語・文化・社会的背景が異なる仲間とコミュニケーションを図りながら仕事を進めていくにあたり、多様性を尊重し多方面でレスペクトすることを自然に習得することが可能で、留学経験は単一民族国家として独自の言語と文化を確立してきた日本人にとって国内にいるだけでは到底経験できない「人生の財産」と言っても過言ではありません。知らず知らずの内に物事を太極的に見ながら良し悪しを判断することが身についていく感じでしょうか。今私たちは医療のグローバル化が進む世界、すなわち日本だけで医療を完結するのは難しい時代に生きています。留学とはグローバル競争社会で揉まれて自身が本来持っている可能性をさらに高めることができるかけがえのない人生経験への自己投資であり、結果として数年間の海外生活であるにもかかわらず人として、またその後の医師人生の糧になる有意義な人生の寄り道、「アナザースカイ」と考えていいのではないかと思います。
『これから始まる長い医師生活の中で、研修や研究が一段落したところで思い切って留学してリフレッシュし、それまでの医師人生を振り返りながら新たなステップを踏み出してみる、こんなプランニングはいかがでしょうか?』
医学生並びに研修医のみなさん、留学は早い方がbetterです(singleあるいはfamilyだと子供が小学生ごろまでが現地の学校に馴染みやすいと思います)。ポジティブ志向で今からでも考えてみませんか。