「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」の公表
昨日(9月28日)に、「救急・集中治療における 生命維持治療の終了/差し控えに関する 4 学会合同ガイドライン 。」が公開されました。これは、2014年に日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本循環器学会の3学会で公表した「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~」に、緩和医療学会が乗っかって、改訂したものです。本文や、今回追加された「緩和ケア別編」などは、緩和医療学会のHPから見ることができますので、興味のある方はご覧ください。
さて、以下にたかはし先生の意見を書かせて頂きますね。
過激ですよ。
まず、最初に、この意見はたかはし先生個人の意見であって、当院の方針ではありません(といいつつ、公式サイトで書いていますが……)。
昨今、医療現場では「国民皆保険制度の限界」を強く感じています。太平洋戦争後、「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び。」我々の先人たちは、全国民が額に汗し、死に物狂いで働いたことで、戦後復興を遂げました。この復興過程で、医療福祉にも目を向ける余裕が出てきた1950年代後半、医療福祉を充実させたい国家(政治家の集票と官僚の既得権益の妥協の産物としての国家)と、安定した収益を上げたい医療側(医者)が手をにぎって国民皆保険制度を築きあげました (制度の完成は1961年です)。これにより、我が国は世界に例をみない高福祉国家となりました。これは、多くの国民が、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだあの日々の勢いをそのままに、高度成長期→バブル期と、働きに働いて得た膨大な生産能力を原資とし、維持し、発展させたものです。しかし、バブルが崩壊し、失われた30年間を過ごす間、国民は働く意味をみいだせなくなりました。一方、生産能力が劇的に低下したにも関わらず、(政治家の集票と官僚の既得権益の妥協の産物としての)国家は、高福祉を「当たり前」のものとして、国民に提供してきました。これに対し、医療側(医者)は、働かない国民により失った原資を補ってあまりあるほど、医療の低コスト化をはかり続けてきました。一方、(政治家の集票と官僚の既得権益の妥協の産物としての)国家は、医療側(医者)の低コスト化が、物価上昇を吸収していることを良いことに、医療費抑制を是としてきました。
この矛盾した世界に、二人の男が現れました。安倍総理と日銀の黒田総裁です。彼らが、大量に「札」を刷ったことで、このバランスが崩れます。「円」の価値は下がり、物の「値」が上がるインフレがやってきました。最初(2013年の黒田バズーガ当時~2020年頃まで)は、医療側(医者)のみならず、各産業の優秀な人材が、低コスト化に勤しむことで、なんとか物価上昇分を吸収してきました。しかし、COVID-19騒ぎの頃から、社会は限界を迎えます。また、見境のない財政出動も、この「限界」に拍車をかけました。安定的な回収が不可能なほどの「札」が世の中に回ってしまったことで、物の「値」が際限なく上がる世の中になったのです。そして、医療側(医者)も限界を感じはじめます。年数%の物価上昇に対して、収入(医療点数)はほぼ固定。2026年度改訂で3%上昇したとて、2022年~2025年の4年間でCPI(消費者物価指数)は12%上昇しています。これでは、安定的な運営は不可能です。いくら努力しても無駄です。
このような現実のなか、医療現場は「国民皆保険制度の崩壊」「自由診療への回帰」に向けた準備が始まっています。言い換えれば、「保険診療・国民皆保険制度から収益を最大化する」という経営方針から、「ここ数年かけて医療制度は崩壊するから、いまはガードを高くして倒産しないように頑張る。そして、来るべき自由診療時代に勝てる存在になる努力を続ける。」が経営方針になっています。
さて、ここで当該ガイドラインです。読んでみると、結局は国民皆保険制度を基に考えられているものにすぎません。いろいろ、美辞麗句を綴っていますが、ほんとのことは書かれていないように感じました。
批判を恐れずに言わせて頂くなら、今後数年以内に国民皆保険制度は内部から崩壊します。自由診療の医療機関がでてきます。すると、「アリのひとあな(蟻の穴から堤も崩れる)」です。国は混合診療(保険診療と自由診療を同時に行うこと)を認めざるを得なくなり、医療現場は公然と混合診療を行いはじめます。そして、延命治療は自由診療部門になり、高コスト化します。治療内容によりますが、おそらく1日20-50万円になります。払えますか?払えないでしょ。でも、最低限、延命中止により、死ぬとしても、苦しくないようにだけはしてあげます。緩和医療です。緩和医療は保険が適応され続けるでしょう。地獄の沙汰も金次第だけど、地獄の責め苦は低減してあげるよ。そんな日は迫っていると思います。そんな「医療現場の本音」が垣間見えるガイドラインにして欲しかったな……。無理か。ガイドラインを書くような偉い先生にはわからないか……。
過激な思想だけど、どんな世になっても死を前にした苦しみを、神の名のもとに、平等に低減して差し上げたいと思い続けている緩和医療科医 たかはしでした。







