《指導医ブログ》意外と人は歴史を知らない

意外と人は歴史に興味がない、ということをしばしば経験します。歴史をしっかり勉強すると今の状況がなぜこうなっているのかを理解することができます。池上彰が世界の状況を説明するのにいつも背景にある歴史をきちんと押さえて話をしているのを見ると時々感動したりします。また歴史を理解するということは、人を理解する事でもあります。
さて、瀬島龍三という名前を聞いてどういう人であったかすぐに返事ができる人は少ないかもしれません。彼は第二次世界大戦中の陸軍軍人で陸軍士官学校を次席で卒業し、陸軍大学を首席で卒業した人物です。戦後は伊藤忠商事に勤務し、繊維商社であった伊藤忠商事を世界有数の総合商社にすることに大きく貢献したとも言われています。中曽根康弘、元総理大臣のブレーンであったとも言われています。
彼は部下が何ページにもわたる報告書を持ってくると、これでは駄目だ、せめてA4,1枚程度にしてほしいと言ったと人づてに聞いたことがあります。必要な事項がきちんと述べられていてかつ短い、わかりやすい文章にまとめることを要求したそうです。

学会発表でもそうですが、やたら文字が多くて、難解なものを見かけることもあります。
医学は理科系の学問ではありますが、多分に文科系の要素も含まれています。
かつて学会発表をするときに、大学の指導教官が私に要求したのは、論旨が明確でわかりやすい事、短い事、興味が持てる内容である事でした。

余裕ができればこのような学会発表の方法、症例報告書の書き方などを研修医の方々と勉強したいとひそかに希望しています。

塩田雄太郎

《指導医ブログ》Stay hungry, stay foolish(放射線科Dr.)

こんにちは。
姫路聖マリア病院 放射線科の医師Fです。

5月25日、全国で新型コロナ緊急事態宣言が解除されました。

まさに一時代が終わり、新たな一時代が始まる、WITHコロナ時代に誰も正解がわからずに生活しています。

コロナ不況が数字で明確化しています。4~6月はリ-マンショック後の経済ダウンをはるかに超えた大変な事態になっており、失業者は100万人以上と増加し、倒産件数が1万社を超える見込みで、企業収益は極度にダウンするとのことです。

すべての産業は、コロナの前の時代には戻れない、業務形態の変更や改変が余儀なくされています。

医療も同じで、例えばオンライン診療も挙げられています。その一方で放射線科(画像検査)は、CTやMRIなどの大型機器を移動することはできませんので、患者様に病院に来ていただいて、大型機器のなかに入って画像検査をしなければ、診療ができません。
いわゆる3密のうちの「密閉」した空間なのです。

物事を決断するには、迷いはあるし、失敗も怖いし、周囲の反応が気になることはあります。

 

Stay hungry, stay foolish 

故スティーブ・ジョブズ氏が、2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチでの締めくくりの言葉が、思い出されます。
当時はこの短いフレーズが非常に印象的でした。
コロナ後、WITHコロナ時代の先行き不透明な現実を考えるとき、いまさらながら普遍的な言葉だと痛感しています。学生のみなさん、励ましの言葉に聞こえてきませんか。

 

さて、暗い話ばかりしても仕方がないので、新型コロナ感染症関連で、ひょっとしたら国家試験に出るかも知れない(あるいは出ないかも知れない)CT所見についてみてみます。

2020年04月24日に出された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する胸部CT検査の指針(Ver.1.0)の中でCOVID-19肺炎のCT所見の典型的な所見として、

1) 初期は片側性ないし両側性の胸膜直下のすりガラス影、背側または下葉優位
2) 円形の多巣性のすりガラス影
3) 進行するとcrazy-paving patternやコンソリデーションなどの割合が増加
4) 器質化を反映した索状影の混在

が挙げられています。


(小田未来らCOVID-19肺炎の2症例:クルーズ船内感染例および市中感染例より転載)

ところで、CT所見でcrazy-paving patternって何?ということなのですが (知っている学生さんは読み飛ばしていただいて構いません)、すりガラス域内部にみられる不揃いの敷石様構造であり、マスクメロンの皮様構造といった方がピンとくると思います。肺胞蛋白症で使われはじめましたが、その他多くの疾患でも認められます。意義としては、肺胞性と間質性のいずれの病態でもみられますので、これらの鑑別には利用できず、この所見により鑑別診断を絞り込むことは難しいのです。

今年の日本医学放射線学会総会の教育講演(佐賀大の江頭玲子先生)で学んだことなのですが、

COVID-19の胸部CTは、器質化肺炎(OP)パターンをとるものも多くみられます。重要所見として注目されているすりガラス影内部の血管径の拡大は、その周囲に見られるcrazy-paving appearanceの所見と併せると、浮腫を処理する過程でのリンパ管拡張や間質浮腫を反映していると考えられるとのことです。

ただし、この所見は、COVID-19に特異的ではないのですが、パンデミックの状況下では、より危険なものを考慮しなければなりませんので、コロナ感染の有無を確認する必要があるとのことだそうです。

まだまだ油断できない日々が続きますが、みなさん体調管理にはお気をつけください。

《指導医ブログ》ストラテジーを持って(病理診断科副部長Dr.藤井)

病理診断科の藤井です。

最近は、通常の診療・診断にかかわる勉強と並行して、読書を習慣づけ、とりわけMBA (経営学修士) 用の書籍を少しひもといています。MBAというと堅苦しく聞こえますが、何もMBAのコースを履修しなくとも、本屋に行けばたくさんのMBA関連本やビジネス書が並んでいます。たくさんの本に目を通してきて、「医療は患者のためにあるサービス業であるとともにビジネスの一種の側面もあり、医療人にとってもその勉強は生きてくる」と確信するようになりました。ぜひ、一部の時間でビジネス書も読んでいただきたいと思います。

MBAの内容の最も根底にあり大事なことは、論理思考 (ロジカル・シンキング/クリティカル・シンキング) と問題解決能力です。これは、少し書籍を詳しく読めばごく当たり前のことを言っているようにも思えますが、より深く考察することで、医療の現場の多くの場面で有効です。また、経営戦略、と言えば会社経営のことを思い起こしますが、要するにストラテジー、成長戦略のことです。
個人の成長戦略として、ただがむしゃらに勉強するより正しく戦略的に能力を高めていくことを意識すれば、効率よく成長の軌跡を描けると思います。特に医学部高学年~研修医の時期は本当に重要な時期ですから、これらの点を心に留めて、いかに研修中~研修後の戦略を立て、自分の強み (コア・コンピテンスやケイパビリティ) をどのように構築していくかをとことん分析する機会としてもらえたら良いと思います。

医療は日進月歩で、非常に複雑です。医療従事者として適切な診療を過不足なく提供してゆけるようになるために、生涯勉強・教育を積み重ねてゆくことと思います。「人が成長するには失敗体験が必要不可欠」と言われています。成功よりも失敗の方が数段記憶に残りやすいものです。
失敗学の大家である畑村洋太郎先生によると、失敗は未知、無知、不注意、手順の不遵守、誤判断、調査・検討の不足、制約条件の変化、企画不良、価値観不良、組織運営不良の10に分類できます。まず「失敗」したことを認識できることが何より大切で、細かく分析し、それを糧にできるようにするべきです。悪い失敗は極力避けるべきですが、個人にとっての未知への遭遇は「よい失敗」のうちに数えられ、人間の成長へつながります。

医療者としての人生としても様々なレベルでの失敗があり得ますが、致命的な失敗は避けなければなりません。そこで、自ら最少の失敗を体験して知識を得ることに加え、他人の失敗例から上手に知識を得ることが、失敗から学ぶ最良の道です。すでに自分が習得した知識を使って失敗をシミュレーションすることを「仮想失敗体験」と呼び、その際、強く実感して体得すべく意識することが重要だそうです。論文・書籍・雑誌等の多数の症例にあたることでも仮想失敗体験 (あるいは仮想成功体験) が積めると思います。

また、自分の診療体験を通してしっかりと自分の中に根付いた知識 (体感学習) こそが、新たな知識を受け入れる素地をつくってゆきます。自らの経験を積み重ねることも大事ですが、経験をもとに論理的に思考し、知識の補強や仮想失敗体験を重ね、真の医療の理解と実践につながっていく事と思います。

明確な目標とストラテジーを持って、医療人の第一歩を歩んでいきましょう!

《指導医ブログ》つつじが開花(緩和ケア内科部長 Dr.髙橋)

今日(4月14日)は、昨日とうって変わって晴天ですね。
さて、今朝も播但線高架下の遊歩道を通って通勤したのですが、道沿いのつつじが開花しつつありました。

一緒に植えられている椿も咲いてて、良い感じのコントラストになっていました。 1-2週間後には、満開になると思われます。機会があれば、見に行ってみてくださいね。SARS-CoV-2/COVID-19関連の問題は山積だけど、毎朝花を見ながら通勤すると、癒されますね。
たかはし

《指導医ブログ》富士山登山(耳鼻いんこう科 担当部長 Dr.佐伯)

耳鼻咽喉科の佐伯忠彦です。一昨年の夏休みになりますが、還暦を迎えるにあたり何かチャレンジをしようと思い長男を伴って(に伴われて?)富士山登山をしました。

登山当日は、富士宮ルートの5合目にある登山口(海抜2400m)からいざ出発です。はじめは、意気揚々と快調でしたがジグザグの登山道は徐々に険しくなり、7合目くらいからは高山病のためか頭痛がしてきました。1泊する8号目にある山小屋には出発して5時間後の14時頃にやっと到着しましたが、その直後に雨が降ってきました(夜中は雷鳴や閃光が山小屋のすぐ近くや下界から聞こえたり見られたのは不思議な体験でした)。

ゆっくりと休憩の後、夕食はお決まりのカレーライスです。その後、頭痛に悩まされながらも寝袋に入って寝始めましたが、熟睡はできず早朝4時過ぎに目が覚めました。暗い中、外に出てみると寒く澄んだ静けさが漂っており、久しぶりに満天の星々を見ることができ感動しました。しばらくして徐々に空が白み始め何とか山の稜線近くにご来光を拝むこともできました)(写真1)。

(写真1)雲海と山の稜線が接する近くに現れたご来光

すっかり明るくなってから、眼下全面に広がる雲海を見ながら8合目を出発し頂上を目指し、約3時間後の9時過ぎに頂上の一角にある浅間神社奥宮へ辿り着きましたが、濃い霧が立ち込め残念ながら眺望を楽しむことはできませんでした。おまけに神社でお守りなどを買おうしたら、財布には何と1500円くらいしかありません。仕方なく買えるだけのお守りをゲットして、最後に頂上でも日本一高い海抜3776mにある「剣ヶ峰」(写真2)に登りましたが、その瞬間、富士山登頂を達成できた満足感に浸ることができ人生の節目の良い思い出となりました。

(写真2)富士山頂の剣ヶ峰(後ろは富士山測候所の跡)

下山中のエピソードは紙面の都合で割愛しますが、やっとのことで御殿場ルートの登山口まで下山できたのは15時過ぎで、その時私は疲労困憊にもかかわらずランナーズハイのような充実感に浸っていました。そして、登山靴やウエアを脱いだ時の解放感は今も忘れられません。

このように2日間をかけて、ハプニングもありながら完遂できた富士山登山でしたが、私にとって素晴らしい体験となり満足しています。皆さんもまだ富士山に登った経験がなければ、一度は登ってみてはいかがですか? でも、感動的な登山になるか苦行になるかは天候とあなた次第です!?

《指導医ブログ》産婦人科研修について(産婦人科Dr.谷川)

産婦人科の谷川です。今年も残すところあとわずかとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は10月から第3子の育休明けで復帰したのですが、我が家はちび子(生後9か月)が鼻水ズルズル、慢性的に風邪をひいており、ご機嫌ナナメな日々を送っています。

私が初期研修をしていた時代、産婦人科は必修科で全員が回っていました。いつの頃からか選択となっていましたが、来年度よりまた必修となるそうですね。当院の産婦人科研修がどのようなものなのか、興味ある方もいらっしゃると思うのでご紹介したいと思います。

産婦人科研修中、研修医の先生は部長である片山先生と一緒に行動します。朝は婦人科回診→産科回診、その後は外来です。外来では赤ちゃんのエコーをしたり、婦人科の方の診察も一緒にします。赤ちゃんのエコーは最初出すべき画像が出せなくて苦労するのですが、研修が終わる頃にはスムーズにできるようになる人がほとんどです。当院にも4Dエコーが導入されており、赤ちゃんのかわいい顔が描出できた時には感動ものです♪

午後は毎日手術が組まれていて、研修医の先生は必ず手術に入るようになっています。帝王切開もありますし、婦人科では腟から行う手術や開腹手術だけではなく、最近では腹腔鏡手術が特に増えてきています。いずれの手術も積極的に手を動かしてもらって、縫合等の手術基本手技を学んでもらっています。また研修医の先生の力量に応じて、実際に執刀をしてもらうこともあります。年間500件程度手術をしているので、1か月研修するだけでもいろんな手術を経験することができますよ。

そして産婦人科といえばやっぱり出産ですよね!日中の分娩はもちろんのこと、夜間の分娩にも積極的に参加してもらっています。夜間のcallは希望を聞きながらしているので、平日毎日on callの研修医さんもいれば、そうでない人もいます。内診したり、分娩の経過を一緒に観察したり、分娩後の処置をしてもらうこともあります。出身大学によっては分娩数が少ないところもあり、あまり分娩に立ち会った経験がない研修医の先生もいると思いますが、痛みに耐えて出産するお母さんとうまれてくる赤ちゃん、それが普通分娩でも帝王切開でも、その場面に立ち会えることはとても素敵な経験になると思います。

産婦人科はいつ分娩があるかわからないのでどたばたと忙しい時もありますが、その分感動する場面がたくさんある素晴らしい科だと私は思っています。手技の経験もたくさんできるし、来年以降当院で研修をする先生方、産婦人科の研修を楽しみにしていてくださいね~♪

《指導医ブログ》釣り(整形外科部長 Dr.尾﨑)

医学生、研修医の皆さんこんにちは!

整形外科の部長をしている尾﨑です。先日、職場の皆と恒例の釣りに行って来ました。

釣り竿やえさエサは船に用意されていて、装備は平等です。それでも、ボウズ(一匹も釣れないこと)から、爆釣れまで釣果(チョウカと読みます)はさまさま。釣りの技術や経験もさることながら、結果に最も影響する要素は運だと思います。手術ではそのようなことは許されませんが...

私の釣果は青物2本。今年は少し寂しい結果。それでも、非常に楽しいひと時でした。写真の背景に見えているのは明石海峡大橋です。

 

釣り哲学者いわく、『釣れない時間も釣り。』だそうです。成功を期待してじっと待ち続ける贅沢な時間も含めて釣りというレジャーなのだと言うことでしょうか?

若い君達は、じっと待ってないで成功を掴み取ってくださいね。

《指導医ブログ》釣りは楽しい(副院長兼小児科部長 Dr.河田)

小児科の河田知子です。皆さんは釣りをしたことがありますか?

私の最初の釣りは小学生の時。冬の間学校ではプールにフナを放していて(?!)、プール開きの前に皆で釣りをしました。家にフナを持って帰り、母親にどうするのと怒られ、近所の池に放しに行ったのを覚えています。

それから20年以上たち、我が家の末っ子(当時4-5歳)が釣りにはまり(城崎マリンワールドの釣り堀でアジを釣り、その場でてんぷらにして食べたのがいたく気に入ったらしい)、休みになると近くの波止場へ釣りに行きました。この頃はアジやイワシ、サヨリが100-200匹釣れることもめずらしくありませんでした。「魚のさばき方辞典」を買って、すべておいしくいただきました。

末っ子が中学生になると部活が忙しく釣りに行けなくなり、4年前に家を建て替えた際に釣り道具もすべて処分しました。ところが昨年、第3の釣りブームがやってきました。ひょんなことから孫たちを釣りに連れて行ったところ、iPad上ではなく実際に魚を釣り上げる、という体験に大興奮(釣り場に行く前に、コンビニで朝食やおやつを自由に選んで買ってもらえるのもうれしいらしい。娘はしつけに厳しいので普段おやつは○○円までと制限付き)。末っ子の時は「本」を読んで釣りの仕掛けや釣り方を調べたものですが、今や孫たちは「Youtube」で「アジの釣り方」「ガシラの釣り方」の動画を検索する時代です。ただ、変わらないのは釣った魚を自分でさばいて(手を切らないかそばでひやひやしています)食べる楽しさ、おいしさです。

姫路にはファミリー向けの釣り場があります。皆さんも釣りをしませんか?

《指導医ブログ》同好会活動について(内科副部長Dr.笠原)

内科副部長の笠原です。テニス同好会とゴルフ同好会の会長(実質はマネージャー)を何年もやっていますので、当院の同好会活動についてお知らせしたいと思います。職員会から各同好会に毎年10万円の活動費が補助されています。

数年前に設立されたダンス同好会と上記の2同好会があります。ダンス同好会は12月に催されるクリスマス会で、普段の練習成果を披露してくれます。

テニス同好会

その設立は古く、1983年にはあったとのことなので、36年以上の歴史となります。主に土曜・休日の午後に院内のテニスコート(ハードコート2面)を使用して練習試合を主体に硬式テニスを楽しんでいます。同好会所有のラケットとボールがテニスコート横の倉庫に保管されていますし、自動球出し器もありますので、全くの初心者でも気兼ねなくテニスを始められます。姫路市テニス協会に所属していて、秋と冬には団体戦に参加しています。多いときには男女計4チームが参加していましたが、テニス部・テニス同好会出身の研修医・常勤医が今は少なく、卒業後もテニスを続けたいという研修医の方に来ていただけるとテニス同好会としてはうれしいのですが。

ゴルフ同好会

設立は2010年ですので9年の歴史となります。毎週水曜日の午後7時から8時頃、エブナゴルフセンターという打ちっぱなし場で練習をします。同好会所有のゴルフセットが男性用女性用とも数組ずつありますので、道具がなくても始められます。多くは副会長の柳内君が、ゴルフセンターの北半分に陣取って、ボール貸し出しコイン(割安料金で)の販売やスイング指導等をしてくれています。過去最多は1日に17人の参加者がありました。春秋の職員旅行(多くはお食事会)の代わりにゴルフコースをラウンドできるようにもなっています。そのラウンドを聖園会ロングランコンペとして、好スコアを競い合っています。「人生には2つある。ゴルフのある人生とゴルフのない人生と。」近隣の開業医の先生に教えていただいた言葉です。ゴルフライフも楽しみましょう。

《指導医ブログ》学会発表についてPart 1~スライド作成の今と昔~(診療部長 兼 乳腺外科部長 Dr.丸山)

私が医者になった30数年前は、国家試験の合否を待たずして、4月上旬に、大学の外科医局に入局する制度であった。すぐさま、「オーベン・ウンテン(医者の内輪用語で上級医・下級医)」の関係で、日夜付属病院での研修が始まるのであった。その8月には、「出局」と言って、関連病院に赴任させられた。その出局の前には、必ずウンテンは、オーベンの指導のもと、経験した症例について、発表する(させられる)のが通例であった。確か「岡山外科学会」で口演したのが、私の学会デビューであったと記憶している。内容は、オーベンが血管外科グループだったため、血管関連の1例報告だった。今の私の専門とは、無関係な内容であった。

今の発表のスライドといえば、Power Pointを用いて作成し、個人のPCもしくは、USBで発表が通常である。しかし、その頃は、「ブルースライド」といって、ちょうどフィルムのネガを1枚ずつ台紙にはめ込んだ形で、投影してもらう形での発表であった。スライド一枚の説明が終わるごとに、「次お願いします」といって、投影機のそばにいる人に合図を送り、次のスライドを送ってもらう形であった。しかも、学会によって、発表スライドの枚数制限があり、一般口演では、多くの場合10枚までとされていた。Power Pointで作成する現在では、発表の作成及び修正は、発表直前まで可能であるが、ブルースライドは、原稿を外部業者に依頼し、スライドになるまでに約1週間を要し、直前に誤字があっても修正できないといった具合である。発表前には、大学医局カンファレンスで、事前に医局員の前で練習プレゼンテーションを行うのであるが、そこで修正を指摘されると、急いでまた修正した原稿を、業者に依頼するといった形で、汗(冷や汗)と涙を流したのである。Power Pointでは、カラー、グラデーション・アニメーションも自由に加工できるが、「ブルースライド」では、ネガフィルムなので、映し出されたままの画面(アニメーションができない)で発表するのである。しかも、作成料金は10枚で5~6万円、カラースライドだと10万円だったと記憶している。

巷では、「研究発表のためのスライドデザイン」なる本まで出版されている。「見た瞬間に伝わってしまうスライドを作れる」などの表題すらある。今や、自由自在にスライド作成ができるのだ。皆さんもPower Pointを駆使して、学会発表をしよう!

 

次回 Part 2では、「なぜ学会発表をするのか?」について、お話ししましょう。