《指導医ブログ》新型コロナウイルスとこどもたち(副院長兼小児科部長 Dr.河田)

このブログ原稿を書いているのは1月5日です。
私は小児科医ですが、院内の感染予防対策を担当しているため、昨年は無駄に(というわけでもありませんが)新型コロナウイルスに詳しくなってしまいました。今年も新型コロナがらみの仕事でスタートしました(小児科ではなく)。
COVID-19と書く方が専門家っぽいのですが、なにしろ専門家じゃないし、なんだかかっこつけているようで気恥ずかしいので、このブログは「新型コロナ」で統一します。
昨年新型コロナのパンデミックとなり、こどもたち、そして小児科診療にどのような影響があったのかをマリア病院における経験で述べます。

1.こどもの感染症が減った!
夏によく見られるヘルパンギーナ、手足口病などのいわゆる夏かぜ、秋から冬にかけてのRSウイルス(細)気管支炎、インフルエンザなどをほとんど見ませんでした。これは当院だけでなく、姫路市の感染症調査集計表でもあきらかです。

2.こどもの肥満が増えた!
姫路市は毎年小学生の肥満児検診を行っています。学校で身体測定を行い、標準体重の20%以上の肥満がある児童は、まずかかりつけで一次検診を受けます。ここ10年くらい20%以上の肥満児は全小学生の6%前後だったのが、昨年は8.6%に増加しました。一次検診で肝機能異常、高脂血症、高血糖、高血圧、50%以上の肥満のどれかを認めた場合、マリア病院を含む4つの基幹病院小児科を受診し二次検診を受けます。マリア病院への二次受診者は35名でした(前年度は27名)。そして、初めて肥満児検診の紙をもらった、というこどもが目立ちました。しかも前年度の肥満度と比べて10%から20%もアップしたというこどもが多かったです。やはり3月~5月の一斉休校、課外スポーツ活動(スイミングや野球チーム、サッカーチームなど)の休止、学校再開後もプール授業中止、運動会中止あるいは縮小の影響は大きかったのだと思います。この冬のマラソン大会(およびその前の練習)も中止のようです。春頃に比べると、こどもたちが外に出ているというだけで眉をひそめられることはなくなりましたので、二次検診に訪れた親子に「一緒に散歩」を勧めました。

3.一人一人の外来に時間をかけることができるようになった!
こどもの感染症が減り、小児科外来を訪れる患者数が減りました。その分、患者さんや保護者の訴えを聞く時間、わかりやすい説明をていねいにする時間が増えました。発熱で受診したお子さんの保護者に、新型コロナの可能性は非常に低いと納得してもらえるまで説明する時間があります(院内の感染予防対策で身につけた知識が役立ちます!)。感染症は減りましたが、学校再開後なんとなくしんどい、おなかが痛い、食べられない、朝起きられない、というこどもたちが増えたように思います。待っている患者さんのリスト画面を気にせずに診療を行うことができます。

2021年はどのような年になるでしょうか。こどもたちがのびのびと、毎日を幸せに過ごせることを願ってやみません。