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緩和ケア病棟からのブログ

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「腎不全の緩和ケア」に関するエトセトラ

最近、自分のまわりで「腎不全の緩和ケア」が話題に上ることが多いので、ちょっと調べてみました。『自分のいままでやってきた緩和医療で、腎不全患者の緩和ケアって、どうしてたっけ……。』ってね。以下、科学的な基準に準じて記載したものでもないし、科学的に正確な統計をとったものでもありません。これをご了承のうえ、お読みください。

この14年間で
今年の3月で、たかはし先生が姫路聖マリア病院に入職してマル14年。6416人の患者さん(もしくはそのご家族)と緩和ケア病棟入院判定外来でお話しさせて頂き、3118人の患者さんの入院診療に携わってきました。こうしてみると、結構多いですね。今日は、この3118人の入院患者さんのうち、(簡単に)診察の過程や結果を調査できた1374人の患者さんについてお話しさせて頂きます。

緩和ケア病棟への入院基準
この6月から診療報酬が改訂になり、慢性腎不全の患者さんも緩和ケア病棟をご利用頂けることになりました。ただ、慢性腎不全だったら、誰でも入院できるわけではなく、一定の基準が設けられています。いわく、
① 慢性腎臓病(CKD)重症度分類でステージG5以上:eGFR 15 mL/min/1.73m² 未満
② 人工透析などの積極的な延命治療を終了してい。
です。では、『自分のいままでやってきた緩和医療』のなかで、①・②の基準を満たしている患者さんは、どれくらいいらっしゃってでしょうか?

意外と多い
まず、もともと『延命を主目的とする医療を行わない』という大前提で診療させて頂いていましたので、そもそも透析をされている患者さんはいらっしゃいません。ですので、②の条件は無視します。では、①eGFR 15 mL/min/1.73m² 未満の患者さんは、どれくらいいらっしゃったのでしょうか?
緩和ケア病棟に入院(転院・転棟を含む)時点で、この条件を満たす患者さん、つまり末期腎不全の患者さんは58人いらっしゃいました(4.22%)。年平均にすると、9-10人くらい。「毎月診てるとは言えないけど、時々診せても~てんで。」と言えますね。

生存期間は1週間 ~でも、長い人もいる~
では、これらの方々が《どれくらい生存》なさっているか調べてみました。結果は、入院後平均20日で亡くなっていました。一方、中央値は8日。……統計に詳しい方は、『はっ、は~ん。』と勘づかれるかと……。一般に「バラツキが多い統計」と言われるヤツです。わかりやすい言葉で申し上げると、早く亡くなる方が多いが、相当長生きなさる人も一定数いらっしゃるということになります。実際、100日以上ご存命の方が3人いらっしゃいました。ゆえに、「末期の慢性腎不全状態で緩和ケア病棟に入院されると、透析を実施しないので、おおよそ1週間程度でお亡くなりになります。一方、まれに100日以上お元気に過ごされる方もおられます。」がお答えになります。

非腎不全と腎不全、結局同じ?
次に、これらの患者さんに対して、どう緩和医療学的治療を行ったか、調査しました。
まず、緩和医療学的治療の代表と言えるオピオイド鎮痛薬(いわゆる麻薬です)ですが。末期腎不全患者さん58人中、30人の患者さんに処方させて頂いていました。51.7%の患者さんにオピオイド鎮痛薬を使ったことになります。eGFR 15 mL/min/1.73m²以上の腎不全でない患者さんは、1316人中634人の患者さん(48.2%)にオピオイド鎮痛薬を使わせて頂いていたので、「腎不全患者さんの方が、ややオピオイド鎮痛薬使用率は高いけど、ほぼ同じでした。」が結果となります。
次に、オピオイド鎮痛薬の使用の次くらいに緩和医療学的治療の代表と言える終末期鎮静についてです。最期の最期にもがき苦しまれるなら、麻酔薬で眠ってまま逝けるようにして差し上げる……、あの治療です。結果です。末期腎不全患者さん58人中25人の患者さんで、何らかの鎮静を実施させて頂いていました。25/5843.1%。結構多いように思いますが、ミダゾラム舌下投与による間欠的な鎮静を含みますので、ま~、これくらいかな……という数字です。持続的な深い鎮静(二度と目が覚めることがないくらい、大量の麻酔薬を投与する鎮静)を実施したのは、1人だけでした。1.7%です。
一方、腎不全でない患者さんは、1316人中508人の患者さん(38.6%)でした。鎮静に関しても、腎不全患者さんの方が、腎不全でない患者さんより、やや多い結果となりましたが、正直いって「誤差範囲」「同じくらいかな。」という印象を受けます。

総合結果
結論としては、「いままで末期がん患者さんを診せてもらってましたが、実は、その中に末期の腎不全患者さんは結構いらっしゃいます。毎月診てるとは言えませんけど、年に10人くらいは診せてもろてます。麻薬や鎮静みたいな、専門的緩和医療は、腎不全があろうがなかろうが、結局一緒です。」となります。
今回は調査していませんが、呼吸不全や心不全についても同様じゃないかなと思います。がんだろうが、腎不全だろうが、呼吸不全だろうが、死を前にして、苦しみを最小限にするための医療行為は、さしてかわりません。だったら、さらに診療報酬を改訂して、僕らに心不全や呼吸不全も診れるようにしてもらえると、多くの病める人が持つ願い、「最期くらいは苦しまずに逝きたい。」を、より多くの人々に提供でるんじゃないかなと思います。いつの日か、そんな時が来ることを願っています。

緩和医療専門医・指導医 たかはし

 

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