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福岡で開催された臨床腫瘍学会に出向いてきました

3月17日金曜は、お休みを頂いて、福岡で開催された臨床腫瘍学会に出向いてきました。以前にも述べましたが、我が師古家先生は、常々「麻酔科医たるもの口で手術できなあかん。」と教えてくださっていました。麻酔科医から緩和医療科医に転身したいまでも、この教えは守っているつもりで、『緩和医療科医たるもの、口でがん治療できなあかん。』ではないですが、常に最先端のがん治療について、勉強していたいと思っています。で、今回は福岡まで出向いて、勉強してきた次第です。

では、勉強してきた内容を、「おいおい、それは言うたらあかんがな。」ってタイトルをつけて、ちょっとだけ書かせて頂きますね。


日本も核武装しなければならない・・・のか

「おいおい、いきなり何言い出すねん。」と怒られそうですが、ま~落ち着いて読んでください。
今回の学会では、Peptide Receptor Radionuclide Therapy (ペプチド受容体放射線核種療法: PRRT)について、熱く議論されていました。特に、昨年発売されたルクテラ®を用いたソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍に対する治療について、実際の運用面の問題点や、他の疾患へPRRTの適応が広がっていったときの問題点が議論されていました。その中で、このPRRTという「すばらしい」治療を行おうにも、放射性同位元素を作ることができない我が国では、自前で薬剤を作ることができないことが、「非常に残念で、かつ危機的な状況」という認識で語られていました。このPRRTに必要なα核種を作成することは、とりもなおさず核兵器を作る技術に他ならず、自前の技術でPRRTを行うことは、とりもなおさず核武装する、いや核武装する能力を有することに他ならなくなってしまいます。IAEAから核武装を疑われる技術を身につけてまで、Stage4の腫瘍からの一発逆転を目指せる治療を開発し、Stage 4で余命いくばくもないと診断された患者さんを救のか。それとも、非核の大原則を守り、世界情勢を鑑みると、いつ供給停止になるかわからない薬剤を用いてがん治療を続けるのか・・・。僕たちは、真剣に考えなければならない時にきてるのかもしれません。

国民皆保険制度は時代遅れか
「おいおい、またまた、タブーに触れる発言かい。」と怒られそうですが、ま~落ち着いて読んでください。
ここ数年ゲノム解析を用いた「がん個別化治療」が取りざたされています。一般的には、生検や手術標本を用いて、遺伝子パネル診断を行い、がん組織内のがん細胞の遺伝子異常を網羅的に検索し、みつかった遺伝子異常に対して特異的に効果を発揮する抗がん剤や、分子標的薬を投与する治療です。で、遺伝子パネル診断ですが、日本では、患者さん1人あたり、生涯に1回だけしかできないことになっています。ま~、何回も遺伝子パネル診断を繰り返すと、お金がかかりすぎて国民皆保険制度が破綻するのは目にみえています。が、がんというのは、homogeniousな組織(単一のがん細胞が増殖して組織)ではなく、かなりheterogeniousな組織(複数の異なる遺伝子異常をもった腫瘍細胞が、雑多に集まってできた組織)とされています。また、腫瘍は、その発育の過程で、どんどん違う遺伝子異常が発生させていくと言われています。なので、理論的には、遺伝子パネル診断で遺伝子異常に適合した治療を開始し、その薬剤の抗がん効果が低下してきたタイミングで、再び遺伝子パネル診断を行い、その時に優勢な遺伝子異常に適合した治療に変更するという過程を繰り返すことが、正しい「がん個別化治療」ということになります。また、生検や手術標本を用いた遺伝子パネル診断だけでは、適合する治療が見つかる可能性は15%程度だとされていますが、同時にリキッドバイオプシーを併用することで、適合する治療が見つかる可能性を格段に上げられるとされています(50%とも)。しかし、我が国では、国民皆保険制度を守るため、複数回の遺伝子パネル診断も、遺伝子パネル診断にリキッドバイオプシーを併用することも認められていません。制度を守るために、助かるひとも助けない・・・、本末転倒な事態となってしまっているのです。たしかに、国民皆保険制度により、我が国は良い国になりました。しかし、そろそろ、この制度も考え直す時期に来ているようにも感じます。福岡の空を眺めながら、そんなことを考えてしまいました。

たかはし

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