姫路聖マリア病院の特長

  • 周産期医療

  • 急性期医療

  • 回復期
    リハビリテーション

  • 地域包括ケア

  • 緩和ケア

  • 障害児・者医療

緩和ケア病棟からのブログ

Notice

  • 医師

30-40年前を思いだせ

昨日(122日火曜)のクロゲン(NHK; クローズアップ現代)ご覧になりました?

『最期は家でと言うけれど... 急増ホスピス型住宅とは?』というタイトルの番組でした。内容としては、余命いくばくもない人々を施設に入居させて、「訪問看護・介護を派遣しますよ。安心して暮らしてね。」という、ま~言ってしまえば「新しいビジネススタイル:ホスピス型住宅」の紹介でした。番組では、病院から退院を促され、自宅で過ごしたいが家族の負担にはなりたくないという人の受け皿になっていて、家賃込み月額15~20万円程度(病院より安い!)で入居できると報道されていました。
この番組をみて、たかはし先生はいろいろ考えさせられました。

NHKが安いと言ってしまうと
権威あるNHKが安いと言ってしまうと、医療費削減の方略として、政府は病院での看取り→ホスピス型住宅での看取りに誘導するんだろうな。病院のいち部門に過ぎない緩和ケア病棟は、これからつらい立場になるんだろうな。

番組では「ケアの質には心配があるという声も少なくない。」と言っていたが
「ケアの質には心配があるという声も少なくない。」と言っていたけど、その解決に取り組む姿勢が重点的に報道されていたな。非常に好意的な報道で、上記の医療費削減の方略としての推奨と勘繰りたくなる。あと、番組では手広くホスピス型住宅を展開している業者さんが、診療報酬の不正請求をしていた事件を報道していたけど、正直言って『付帯情報(ついでに伝えた情報)』というスタンスだったよね。これも、ホスピス型住宅への誘導を促す偏向報道……。かんぐりすぎ……。

我々はどうなんだ
今回の報道をみて、我々緩和ケア病棟は「飽きられた。」「呆れられた。」と感じました。ホスピス・緩和ケア病棟が社会運動となったのは30-40年前。その運動は、「がん告知の是非」と一体となり、医療の在り方を大きく変えてきました。しかし、30-40年という時間がたち、我々の存在は「当たり前」になり、そして飽きられようとしているのではないでしょうか。
30-40年前、我々の先人たちが提供するケア(緩和ケア)は、他では享受できない、圧倒的な質をもったケアでした。しかし、いまは、他との「差」がなくなってしまいました。 ホスピス型住宅の目からみると、「緩和ケア病棟で提供されるケア程度なら、ホスピス型住宅というケア提供体制でも、十分提供できるやん。」が本音だろうし、利用者側も、「ホスピス型住宅と緩和ケア病棟でやることが一緒なら、こっち(ホスピス型住宅)でええやん。」が本音だと思います。そう、我々は飽きられたのです。そして、あの時のように「目新しい何か」を提供できなくなってしまったにも関わらず、30-40年前とさして変わらないことを行い続けている我々は、呆れられてしまっているのではないでしょうか。

我々はどうするべきなのか?
一言で言うなら、30-40年前を思いだせです。「がん告知の是非」をめぐって、外科医や内科医、看護師、そして患者の家族とすら戦った、あの熱い日々を思いだすのです。あの熱量で、Qualityの向上を目指すのです。大事なのは、熱量です。日々の、当たり前の業務によって、冷めきった君たちの体を熱くする何かをみいだすことです。それが、患者さんやご家族のQuality of Lifeを向上することにつながると信じています。

たかはし先生は、常々「医療は最高レベルに標準化されなければならない。だれがやっても同じ結果、もっともよい結果になるようにしなければならない。」と言ってきました。今も、この信念に変わりはありません。しかし、ケアは違うと思います。緩和医療は標準化されなければなりませんが、緩和ケアには「差」がつくよう、努力を惜しむべきではありません。最近、それが出来てなかったな……と反省しつつ……。

たかはし

 

緩和ケア病棟のブログ

  • 医師

    また休日の話題を

  • 医師

    例の動物

  • 医師

    銀杏が見ごろ

  • 医師

    またやってしまった~!

  • 医師

    そうだAIだ!