月別アーカイブ: 2021年10月

麻酔科医たるもの・・・

今日は、朝イチに近所の公民館で衆議議員選挙の投票をすませたあと、

妻鹿駅で山陽シーサイドワンディチケットを購入し、

がっらがらの山電に乗って、一路大阪へ行ってきました^ ^。(シーサイド1dayチケットは以前は2000円だったのに、2200円に値上がりしていたのが、ちょっとショックでした)。

それにしても、なんで大阪に行ったのかって・・・??。
緊急事態宣言も解除されたし、遊び??
いやいや、たかはし先生は、意外とマジメなので、遊びじゃないっすよ。・・・試験受けにですよ ^ ^_。なんの試験かって?? なんと「がん治療認定医試験」ってやつでよ。・・・無謀でしょ。手術・抗がん剤・放射線治療といった標準的(積極的)がん治療に携わっていない医師が、「がん治療認定医」だなんて・・・。しかし、これには理由があります。
我が師: 古家仁先生(奈良県立医科大学麻酔科学教室先代教授)の教えのひとつに「麻酔科医たるもの、手で手術できんでも、口で手術できなあかん。」があります。その意としては、「麻酔科医は実際に手術はできなくても、術式・術操作を熟知しなさい。そして、麻酔管理上問題となる手技を外科医が行うときは最新の注意をはらいなさい。また、外科医に快適な手術環境を提供しなさい。そして、それを実現するため、勉学に励みなさい。」です。麻酔科医として、この教えは守ってきたつもりですし、緩和医療科医になってからは、「緩和医療科医たるもの、手術・抗がん剤投与・放射線治療はできなくても、この適応と問題点は知っておくべきだ。」と思い、日々精進してきたつもりです。で、この精進の一環として、今年、「がん治療認定医試験」を受けてみることにしました。ま、『麻酔科医が外科認定医試験をうける』もしくは『外科医が緩和医療認定医をうける』くらい、やや無謀な挑戦ですが・・・。

さて、試験会場は、JR大阪駅の西側、梅田ガーデンシティーにある貸会議室ビルでした。テレビなどで、時々もの珍しく報道される、阪神高速がビルを貫いて通っている、例のビルです。

試験問題は全部で60問。試験時間は90分。けっこうタイトでした。結果(見込み)は・・・? すんなりわかった問題が60問中32問 (32点はGET ^ ^)。(5択中)2択まで絞れた問題が17問 (統計学的には8.5点GET)。2択にも絞れなかった問題が11問(統計学的には2.2点GET)でした。ということで、統計学的には42.7点(/60点)。合格ラインは7割(42点/60点)だそうなので・・・統計的にはぎりぎりセーフ・・。しかし、自信をもって回答した問題を一つでも間違っているとアウト > <。そもそも統計的な結果が得られなければOUT。ま、半々って感じですかね。しかし、今回、この試験をうけるにあたり、受験の要件になっている試験前講座を受講することで、ほんとに勉強になりました。最新のがん治療について、網羅的に学ことができ、我々の病棟に入院してきた患者さんが、どのような治療を受け、そして、どのような意思決定をしられれてきたか、ほんと、よくわかりました。今回の試験に合格しても、不合格でも、いい勉強になったことは間違いないので、ずいぶん時間を費やしましたが、後悔はありません。むろん、明日からの診療にいきると思います。いや、いかしていきたいと思っています。
僕は、今年で48歳。医師としてのキャリアは後半にさしかかっています。今回受けた「がん治療認定医試験」は、各基礎領域(内科とか外科とか麻酔科とか)の専門医をとった若手医師(おおよそ7年目から10年目戦士)が受ける試験です。試験会場には、前途揚々な若手医師が、いっぱい来ていました。医師になって四半世紀の僕は、ちょっと浮いてました。
が・・・^ ^。でも、自分を磨き続けたいと思います。これからも、機会があれば、こういったChallengeをしてみたいと思っています。

さて、試験終了後は、自分へのご褒美に・・・と思い、伊丹空港の近くの千里川河川敷まで、足を伸ばしてきました。大好きに飛行機を間近にみて、

思いがけず出現した虹もみて、

Refreshさせていただきました ^ ^。
ここ(千里川河川敷)は、老いも若きも、幸せな人生をおくっているやつも、それほど幸せでないやつも・・・、みんなの上を平等に飛ぶ飛行機を見上げる・・って共通目的をもって集まる・・・なんだか真の平等・・・的な雰囲気がする場所なんです。緩和医科医として、いろいろ示唆を頂ける空間のような気がするので、時々やってくるようにしています。
さ、試験勉強で得た知識と、千里川で得たインスピレーションをもって、明日からは(も)、診療にはげも!!

たかはし

麻酔の日

明日10月13日は麻酔の日です。ご存じでした?
文化元年(旧暦)10月13日(グレゴリオ暦1804年11月14日)、華岡青州先生が世界で初めて全身麻酔による手術を成功させました。青洲先生の通仙散(内服する全身麻酔薬)は、スコポラミン(ハイスコ®)の中毒量 投与 (投与された患者が頻脈のため心不全死する寸前の投与量)だったんです。だから、 スコポラミン 抗コリン作用が高じて、奥さんが失明したんです。けっこう、乱暴な治療だったんです。知っておられました?
そういえば、ここ数年、青洲先生のお墓詣りしていないな~。

写真の説明はありません。
華岡家代々のお墓です。奥のほうの古いお墓が青洲先生のお墓です

・・・自分のご先祖さまのお墓詣りもしてないけど(>_<)。

1人の画像のようです
昔は、よく自転車で行ってました。

COVID-19騒ぎが落ち着いたら、また、自転車に乗って、行ってみよ~かな(^ο^)。
たかはし

mRNAワクチン開発者ではなく

今年のノーベル医学生理学賞が決まりましたね。大方の予想:mRNAワクチン開発者ではなく、TRP受容体familyの発見者であるデービッド・ジュリアス教授とアーデム・パタプティアン教授が受賞しました。
僕が、奈良県立医科大学で慢性疼痛モデル動物の研究をしていた頃、このTRP受容体familyの役割が解明されていきました。熱いと痛いが、科学的に説明されている過程や、それがどうやって慢性化しているか説明できるようになっていく一連の研究は、科学者のはしくれとして、ワクワクしながら見守っていたことを思いだします。あれから20年、ついにノーベル賞につながったと思うと、他人事だけど感動します。
しかし、一方で TRP受容体family に関連する創薬は、いまだ道半ばのようです。一日も早く、 TRP受容体family をTargetにした鎮痛薬が開発され、痛みに苦しむ患者さんの福音になればと思います。

たかはし