姫路広畑オープンカンファレンス 胃がん化学療法を上手に使いこなすコツ」で学んだことを忘備録的に。
(1) 切除不能・再発胃がん治療にニボルマブ (オプジーボ)が認可される。
来週あたりに認可されるそうです。
(2)ニボルマブ (オプジーボ)の副作用は強烈
ニボルマブ は『免疫を暴走させてがんを叩く薬。』とのこと。うまい表現だと思いました。なので、暴走した免疫が体細胞を障害し、ありとあらゆる副作用が発生する。ニボルマブを使う医療者も患者も、この『ありとあらゆる副作用』に対処する『覚悟』が必要。けっして『夢の薬』ない。時として『悪夢の薬』にもなりえる。ニボルマブを使う医療機関は、内科・外科・整形外科・内分泌内科・神経内科・・・ありとあらゆる診療が可能な体制を形成しなければならない。
(3) ニボルマブ (オプジーボ)と普通の抗がん剤(殺細胞性抗がん剤・分子標的薬)との違い。
普通の抗がん剤は、生存期間中央値は伸ばすが、最大生存期間は延ばさない。つまり、Stage 4のがん患者は、いずれ、みんな死を迎える。どんなに長く生きても、ある程度の限界がある。しかし、癌腫にもよるが、ボルマブを用いると最大生存期間が「ニボルマブを続けるかぎり」になる。この点は、「副作用がそれほどでもなく、効果を得られた人にとっては『夢の薬』」ということが言える。
(4) TS-1やカペシタビン(ゼローダ)は、さぼりながら飲むといい。
むかし(10年ほど前)は、よく「殺細胞性抗がん剤は、Full dose使わなきゃ意味がない。中途半端に減量するなら、投与しない方がまし。」と言われたものです。しかし、TS-1やカペシタビン(ゼローダ)は、患者さんに「つらかったら、自己判断で休薬してね」というそうです。というのも、『頑張って先生の言うとおり内服したひと』より、『自己判断で休薬したひと』の方が長生きした・・というエビデンスが確立しているそうです。
そういえば、以前にも、奈良医大勤務時の知り合いである近畿大学の田村教授 (腫瘍内科)が「TS-1は、ずぼらなひとの方がうまくいく。」と仰ってました。
(5)胃がん手術後の化学療法
Stage 2なら、副作用の少ないTS-1がいい。TS-1は1年飲まないと意味はない。一方、N2以上(リンパ節転移が3つ以上)や、Stage 3B・3Cは、好中球減少(TS-1 2-3% v.s. XELOX 34%)や食欲減退 (TS-1 6% v.s. XELOX 16%)、末梢神経障害という不都合はあるものの、XELOX療法 (カペシタビン(ゼローダ)+オキサリプラチン(エルプラット))がいいようです。
(6) オキサリプラチン(エルプラット)の末梢神経障害
急性障害が出たひとほど、慢性障害も発生しやすい。一発目でしびれたら注意。
慢性障害の予防や症状緩和について、色々研究がなされてきたが、結局すべてNegativeだった。