医学生のみなさんこんにちは。
放射線科Fと申します。
今年もブログ担当が回ってきました。
できるだけ医学生の皆さんに参考になるように、11月19日土曜日にZOOM配信にて行われました研修医画像セミナ-について書いてみます。
この研修医画像セミナ-は、岡山大学放射線医学教室が主催されており、昨年度までは1回/年開催されていましたが、今年度からは開催回数が増えて、3回/年開催されるようになりました。
主に救急画像診断についての講演をされており、救急を担当する初期研修医の先生に大変役立つ内容となっています。
今回は、泌尿器・産婦人科の救急疾患と心血管系の救急画像診断についての2講演ありました。演者は岡山大学の浅野雄大先生と津山中央病院の岡本聡一郎先生で、明日から役に立つ救急疾患について、詳しく講演していただきました。
特に救急疾患については、画像が診断の決め手になる場合が多く、知識の整理にも役立つ内容満載でした。
姫路聖マリア病院で初期研修をされる際には、是非この研修医画像セミナ-を聞いて、明日への診療に役立てていただきたいと思います。
当院には診療科として心臓血管外科がありません。このため胸痛や腹痛を訴えて救急外来を受診された患者様が急性期の大動脈疾患を疑われた場合には、高次医療施設への救急搬送が必要であり、それ故に、急性期の大動脈疾患を見逃さないことが大切となります。
救急CTでは、心血管系疾患を見逃さない読影が必須であり、日頃から心血管をちゃんと見る習慣をつけなければならないのです。
今回のセミナ-を聴講させていただき、当院の初期研修でも大変重要だと再認識いたしました。
国家試験対策(??)として症例を提示いたします。
夜間に上腹部痛を訴えてきた患者様です。手持ちの痛み止めを使用しても痛みが止まらないため、救急要請され、救急車で搬送されてきました。
血液生化学では、白血球数がやや上昇している以外には特記すべき所見ありませんでした。心電図は異常所見なしです。
直ちにCTを撮影されています。
下図に示すごとく、単純CTを撮影した段階では、大動脈の二腔構造がはっきりと指摘できませんでしたが、当直医は大動脈解離の可能性を想起して、続いて造影CTが撮影されました。
造影CTでは、大動脈に解離による二腔構造が認められます。この患者様は、上行大動脈に解離があり(非提示)、スタンフォ-ドA型の偽腔開存型急性大動脈解離と診断され、直ちに高次医療施設へ搬送となりました。
単純CT:大動脈には二腔構造が指摘できません。
造影CT:大動脈解離による二腔構造を認めます。
今後の初期研修病院で学ばれると思いますが、このような患者様以外にも、急性腹症などの救急患者様の場合には、造影CTが診断に大変役に立つことが多々あります。
医学生のみなさんにおかれましては、医師国家試験に向けて頑張っておられるかと思います。
この冬は、新型コロナウイルス第8波とインフルエンザウイルスの同時流行も懸念されておりますので、体調管理には、くれぐれもお気をつけください。