病理診断科の藤井です。病理医はDoctorの中で人数は少ないのですが、病理の仕事はめちゃくちゃやり甲斐があります。肉眼や顕微鏡を通して見た「かたち」から、一人ひとりの患者様の病気の本質的な部分を考える仕事をしています。病院の「縁の下の力持ち」として頑張っています。
私は現在卒後13年で、必修化された後の卒後臨床研修を経験しています。スーパーローテートを2年間研修した立場から、姫路聖マリア病院での研修について考えてみると、齷齪として勉強時間が足りず歯がゆい思いをいつもしていた自分と比べて、ここの研修医達はなんと恵まれている事だろう、と感じます。当院の研修医をつぶさに見ていると、仕事を頑張りつつも伸び伸びとし、しっかりと勉強する時間が確保できている研修医が多いような気がしています。
今まで、研修で病理を選択してくれた研修医が何人かいました。回ってきてくれた月には、それぞれ、将来行きたい科に照準を合わせ、フレキシブルに病理の研修内容を組み立てました。各人とも、その月の研修目標を設定し、臓器ごとの比較的intensiveな勉強をしてもらいました。研修満足度も中々で、いい反応が得られたように思います。
当院では、比較的各科の垣根が低く、フレキシブルな研修が提示できるという特性からも、生検や手術をした症例について、研修中に病理に直に触れる機会が比較的容易につくれます。病理を選択せずとも、他科を回っている時に気になっている症例の病理も同時に勉強する時間が存分にあると思います。
もししっかりした研修がしたいと考えている学生さんがいましたら、2年間のうちに病理を選択しないにしても、病理医がおり、研修の合間にでも病理も勉強できる環境の整っている研修病院を選ぶのは賢い選択だと思います。
当院では、毎年『モーニングレクチャー』という主に研修医を対象とした朝のレクチャーをしています。そのうち、私の受け持ちは年1回ですが、その時々にあわせレクチャーファイルを作製しています。今まで設定した『モーニングレクチャー』の内容は「病理とは・病理報告書の読み方」「病理解剖」「剖検例に学ぶ心疾患」「検体の扱い方」「発表技法 (PowerPoint)・レポートの書き方」等で、同じスライド/資料をできるだけ使いまわさず、毎年、新たなテーマを設定しています。準備時間もなかなか確保できないのですが「今年は何にして、どのようなメッセージを伝えようか」と考えるのも刺激的で、新たなお題にチャレンジしています。2019年度は「救急疾患の病理」を予定しています。
添付図は、この『モーニングレクチャー』で使用した内容の一例です。
さらに、私は当院で別の勉強会も行っています。2016年度~2017年度は、コメディカルや研修医の為になるベーシックな内容の勉強会を毎月開催していました。2018年度は、New England Journal of Medicine抄読会 (兼 英語勉強会) を開催しています。仕事の一部と考えて鋭意行っています。研修医にとっても役立つ内容と思います。
病理医が病院の中でどの様に働いているかを実際に見ておくことは大事で、臨床研修後も非常に役に立ちます。さらに、将来どの科に進もうとも、2年の研修後を見据え、研修の一部に病理の勉強もぜひ組み込むことを考えてみてください。