≪指導医ブログ≫「コロナ禍と小児科研修」(副院長・小児科部長 Dr.河田)

あっという間に6月もあとわずか。2022年も半分近く過ぎてしまいました。
小児科の河田です。感染管理室長でもあります。
2020年に「新型コロナウイルスによるパンデミック」が始まって、2年あまり。
みなさん、コロナにはもうあきあきしているのではないでしょうか。
旅行へ行きたい、会食したい、飲み会したい。それは私たち医療者も一緒です。でも私たち医療者の職場には、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすい患者さんがたくさんいらっしゃいます。
自分が新型コロナに感染して軽症だったとしても、自分から感染した患者さんが重症化するかもしれません。
自分からまわりのスタッフが感染することにより、患者さんに医療を提供できなくなるかもしれません。というわけで私たち医療者は、まだまだ「不自由」な毎日を過ごしています(それぞれ工夫して毎日の楽しみを作っていますが)。
 
さて、コロナ禍により、初期研修医の小児科研修内容もかなり様変わりしました。なんといっても「こどもの感染症が減った」につきます。
小児科研修ならではの、夏のヘルパンギーナ、手足口病、アデノウイルス感染症など、冬のインフルエンザ、RSウイルス感染症など「激減」です。私自身この2年間、インフルエンザのこどもを見ていません。
 逆に「朝、調子が悪い」「頭(おなか)が痛い」「めまいがする」「しんどい」などの不定愁訴や起立性調節障害のために学校へ行けないお子さんが外来には増えています。以前の感染症で忙しい外来では、これらの患者さんに時間をとることが困難でした。

でも今小児科医には時間があります。小児科外来での研修では、小児科医がどのようにこどもとその保護者の訴えを聞き(あるいは聞き出し)、対応しているのか、じっくり見てほしいと思います。
ベテラン小児科医の患者さんや保護者との話のしかた、説明のしかたをそばで見聞きすることはきっと参考になると思います(こどもの泣き声にまけないように、大きな声で明確に話す話し方も含め)。こどもの採血、点滴、予防接種、電子カルテの書き方(他の医師だけでなく、他の職種にも診断、治療方針がわかるように)、各種オーダのしかたも、ていねいに指導しています。

 とは言っても、先が読めないコロナ禍。もしかしたら以前のような感染症診療に追われる小児科がもどってこないとも言えません。どんな状況であっても、こどもと保護者に対応するために医師として必要なスキルを学んでもらえるよう、指導していきます。小児科研修を楽しみにしてください。